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Windows11アップグレード前に確認すべき注意点:IT担当者のためのチェックポイント

Windows11アップグレード前に確認すべき注意点:IT担当者のためのチェックポイント
投稿日:2025年10月23日
最終更新日:2025年10月27日

Windows 11へのアップグレード前に必須の確認項目は、①TPM 2.0・UEFI・Secure Bootのハードウェア要件、②既存アプリケーションとの互換性検証、③完全なデータバックアップの実施です。段階的なテスト導入と詳細な計画策定により、業務への影響を最小限に抑えた安全なアップグレードが実現できます。

Windows 11への移行を検討する企業にとって、事前の準備と注意点の把握が成功と失敗を分ける重要な要素です。ハードウェア要件の厳格化、互換性問題、セキュリティ設定の変更など、従来のアップグレードとは異なる課題が存在します。

本記事では、企業のIT資産管理担当者が見落としやすい重要なチェックポイントを体系的に整理し、スムーズなアップグレードを実現するための実践的な指針を提供します。計画段階から運用開始まで、各フェーズで押さえるべき注意点を具体例とともに解説します。

アップグレードできない場合の対処法については、「Windows11にアップグレードできない問題の解決法:企業PC資産の効果的な対応策」で詳しく解説しています。

Windows 11 の新要件と既存環境への影響分析

Windows 11 は、従来の OS と比較して大幅に強化されたセキュリティ要件を採用しています。TPM 2.0(暗号化キーの生成と保護を行うセキュリティチップ)、UEFI(従来の BIOS に代わる新しいファームウェア)、Secure Boot(不正なソフトウェアの起動を防ぐセキュリティ機能)という 3 つの必須要件は、多くの既存 PC 環境で障壁となる可能性があります。これらの要件を満たさない機器ではアップグレードそのものが実行できないため、事前の詳細な調査が不可欠です。

ハードウェア互換性の詳細チェックリスト

TPM 2.0 チップは、2016 年以降に製造された PC では標準搭載されていることが多いものの、BIOS 設定で無効化されている場合があります。事前にシステム情報で確認し、必要に応じて BIOS 設定の変更が必要です。また、TPM 1.2 からのアップグレードでは、BitLocker 暗号化の再設定が必要になる場合もあります。

CPU 要件では、Intel 第 8 世代以降、AMD Ryzen 2000 シリーズ以降が基準となっていますが、例外的にサポートされる旧世代 CPU も存在します。正確な対応状況は、マイクロソフトの公式互換性リストで確認することが重要です。

参照: Windows 11 の仕様とシステム要件 | Microsoft Windows

メモリとストレージの最適化要件

Windows 11 は、メモリ 4GB 以上、ストレージ 64GB 以上が最低要件ですが、実用的な運用には 8GB 以上のメモリが推奨されます。特に、複数のアプリケーションを同時実行する企業環境では、16GB 以上の搭載が望ましいでしょう。

ストレージについては、SSD の使用を強く推奨しており、従来の HDD と比較して起動時間やアプリケーション応答性が大幅に改善されます。既存の HDD 環境でもアップグレードは可能ですが、パフォーマンスの低下は避けられません。

アプリケーション互換性とデータ移行の課題

既存の業務アプリケーションと Windows 11 の互換性確認は、アップグレード計画の重要な検討要素です。特に、社内開発のアプリケーションや古いバージョンの業務ソフトウェアでは、動作不具合や機能制限が発生する可能性があります。

業務システムの互換性検証手順

アプリケーション互換性の検証は、段階的なアプローチが効果的です。まず、テスト環境でのパイロット運用により、主要な機能が正常に動作することを確認します。次に、限定したユーザーグループでの実運用テストを実施し、日常業務での問題点を洗い出します。

特に注意すべきは、Internet Explorer (IE) モードの廃止による影響です。IE に依存した Web アプリケーションでは、Microsoft Edge での動作検証が必要になります。また、ActiveX コントロールを使用したアプリケーションでは、代替技術への移行も検討が必要です。

データバックアップと復旧計画の策定

アップグレード前の完全なシステムバックアップは、問題発生時の迅速な復旧を可能にする重要な準備です。システムイメージ、ユーザーデータ、アプリケーション設定を含む包括的なバックアップ計画を策定します。

復旧計画では、アップグレード失敗時のロールバック手順を明確に定義します。Windows 11 では、アップグレード後 10 日間は自動的に復旧オプションが提供されますが、それ以降は手動での復旧作業が必要になります。

セキュリティ設定とグループポリシーの調整

Windows 11 では、セキュリティ機能が大幅に強化されており、既存のセキュリティポリシーとの整合性確認が重要です。特に、Windows Hello、Windows Defender、BitLocker の設定は、企業のセキュリティ要件と照らし合わせた調整が必要になります。

強化されたセキュリティ機能への対応

Microsoft Defender for Business は、従来の Windows Defender と比較して高度な脅威検知機能を提供します。しかし、既存のサードパーティ製セキュリティソフトウェアとの競合や重複した保護機能により、システムパフォーマンスに影響を与える可能性があります。

VBS ( Virtualization-based Security : 仮 想 化 ベ ー ス セ キ ュ リ テ ィ ) や HVCI(Hypervisor-protected Code Integrity:コード整合性保護機能)などの新機能は、強固なセキュリティを提供する一方で、一部のアプリケーションで動作問題を引き起こす場合があります。段階的な有効化により、影響範囲を最小限に抑制することが重要です。

グループポリシーの移行と最適化

Active Directory 環境では、Windows 11 用のグループポリシーテンプレートの更新が必要です。新機能に対応したポリシー設定により、一元的な管理とセキュリティの統制を実現できます。

既存のポリシー設定との互換性確認も欠かせません。廃止された機能や変更された設定項目により、予期しない動作が発生する可能性があります。事前のテスト環境での検証により、本番環境への影響を最小限に抑えることができます。

AI機能(Copilot)への企業としての対応

Windows 11に統合されたMicrosoft Copilotは、生産性向上の可能性を秘めている一方で、企業環境では慎重な導入計画が必要です。データプライバシー、セキュリティ、ガバナンスの観点から、組織全体での方針策定と適切な設定が重要になります。

Copilotのセキュリティとプライバシー設定

Microsoft Copilot for Windowsは、ローカル処理とクラウド処理を組み合わせた機能を提供しますが、機密情報の取り扱いについて明確なポリシーが必要です。グループポリシーやMicrosoft Intuneを通じた一元管理により、Copilot機能の有効/無効を組織レベルで制御できます。

特に重要なのは、チャット履歴やデータ送信の制御です。企業機密や個人情報がクラウドサービスに送信される可能性があるため、データ分類に基づいた利用制限を設定することが推奨されます。また、Microsoft 365 Copilotとの違いを理解し、それぞれの適用範囲を明確に定義する必要があります。

業務利用時のガバナンスとコンプライアンス

AI機能の業務利用では、生成されたコンテンツの責任所在や情報の正確性について明確なガイドラインが必要です。Copilotが生成した情報の検証プロセスや最終的な責任は人間が負うことを組織全体で徹底します。

コンプライアンス要件の厳しい業界では、AI利用に関する監査証跡の保持や規制当局への対応準備も考慮が必要です。利用ログの保存期間やアクセス制御について、既存のIT統制と整合性をとった運用ルールを策定します。

段階的導入とユーザー教育

Copilot機能の展開は、限定したユーザーグループでのパイロット運用から開始することが効果的です。IT部門、法務部門、情報セキュリティ部門の連携により、業務への影響とリスクを評価しながら段階的に拡大します。

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ユーザー教育では、AI機能の適切な使い方だけでなく、使ってはいけない情報の種類や生成結果の検証方法についても重点的に指導します。「AI任せ」にならない意識醸成と人間の判断力を補助するツールとして位置づけることが重要です。

ユーザー教育と変更管理の戦略

Windows 11では、スタートメニューやタスクバーのデザインが大幅に変更されており、ユーザーの操作性に影響を与える可能性があります。変更に対するユーザーの混乱を最小限に抑えるため、計画的な教育プログラムと段階的な展開が重要です。

ユーザーインターフェースの変更点と対応策

新しいスタートメニューでは、ライブタイルが廃止され、推奨アプリとして最近使用したファイルが表示されます。従来の操作に慣れたユーザーにとって、初期の戸惑いは避けられないため、事前のトレーニングが効果的です。

また、Microsoft Teamsの統合により、コミュニケーション機能が強化されていますが、既存のコミュニケーションツールとの使い分けについて明確なガイドラインの提供が必要です。

段階的な展開と習熟度の向上

パイロットグループによる先行導入により、実際の業務での課題を事前に把握できます。パイロットユーザーからのフィードバックを基に、マニュアルの改善やFAQの充実を図り、本格展開に向けた準備を整えます。

ヘルプデスクの対応体制強化も重要な要素です。移行初期は問い合わせが集中するため、専門知識を持ったスタッフの配置と、迅速な問題解決体制の構築が求められます。

パシフィックネットのヘルプデスクサービスでは、各種アプリケーションの問い合わせ対応から、PC・周辺機器のトラブルシューティング、アカウント管理まで幅広く対応し、情シス部門の業務負荷を大幅に軽減します。

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トラブルシューティングと運用開始後の注意点

Windows 11 への移行完了後も、継続的な監視と最適化が必要です。パフォーマンスの監視、セキュリティ更新の適用、新機能の活用など、運用フェーズでの取り組みがアップグレードの成功を左右します。

パフォーマンス問題の診断と対処

移行直後は、インデックス作成やシステム最適化により、一時的にパフォーマンスが低下する可能性があります。これらの処理が完了するまで、数日から 1 週間程度の時間を要することを事前にユーザーに周知することが重要です。

継続的なパフォーマンス監視により、異常な動作やリソース消費の増大を早期に発見できます。特に、メモリ使用量やディスク I/O の監視により、システムの健全性を維持できます。

定期的な運用評価と改善計画

移行から 3 ヶ月、6 ヶ月後の定期的な評価により、想定した効果が得られているかを検証します。ユーザー満足度、システム安定性、セキュリティ水準などの指標により、総合的な評価を実施します。

発見された課題については、優先度を設定した改善計画を策定し、継続的なシステム最適化を推進します。また、新機能の活用により、生産性向上の機会を探ることも重要です。

まとめ:成功する Windows 11 アップグレードの要点

Windows 11 へのアップグレードは、十分な事前準備と段階的なアプローチにより、リスクを最小限に抑えて実施できます。ハードウェア互換性、アプリケーション検証、ユーザー教育の 3 つの要素をバランス良く進めることが成功につながるポイントとなります。

パシフィックネットは、Windows 11 対応機種のPCレンタルから事前テスト用キッティング、 アップグレード後のヘルプデスク対応、旧機種のデータ消去や適正処理まで、アップグレードプロジェクトをトータルサポートします。Windows 11 移行でお困りの法人・自治体の皆様はお気軽にお問い合わせください。

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よくある質問

  • Windows 11にアップグレードできないPCはどう判断すればよいですか?

    TPM 2.0非搭載、CPU要件未満、UEFI非対応のいずれかに該当する場合、アップグレードは実行できません。まずPC正常性チェックツールをマイクロソフト社サイトからダウンロードし、自動診断を実行してください。要件を満たさない場合は、新しいPCへの買い替えを検討する必要があります。ただし、一部の旧世代CPUでも例外的にサポートされる場合があるため、公式の互換性リストで詳細を確認することをお勧めします。

  • アップグレード後に古いソフトウェアが動かなくなった場合の対処法は?

    A: まず互換モードでの起動を試してください。アプリケーションを右クリックし「プロパティ」→「互換性」タブでWindows 10互換モードを設定します。それでも解決しない場合は、ソフトウェアベンダーにWindows 11対応版の有無を確認してください。代替ソフトウェアへの移行も選択肢のひとつです。重要な業務アプリケーションについては、事前のテスト環境での動作確認が必須です。

  • Windows 11のCopilot機能を企業で安全に使うための設定方法は?

    グループポリシーまたはMicrosoft Intuneを使用して、Copilot機能の有効/無効を一元制御してください。特に重要なのはデータ送信の制限設定です。機密情報がクラウドに送信されないよう、チャット履歴の保存無効化、学習データとしての利用拒否設定を行います。また、利用ガイドラインを策定し、従業員に対してAI機能の適切な使用方法を教育することが重要です。

  • アップグレードに失敗した場合の復旧方法を教えてください。

    Windows 11ではアップグレード後10日間は自動復旧オプションが利用可能です。「設定」→「システム」→「回復」から「以前のバージョンのWindowsに戻す」を選択してください。10日を過ぎた場合は、事前に作成したシステムイメージからの復元が必要です。そのため、アップグレード前には必ず完全なシステムバックアップを実行しておくことが重要です。復旧作業には数時間を要する場合があるため、業務時間外での実施を推奨します。

  • 大量のPCを効率的にWindows 11にアップグレードする方法は?

    Windows Deployment Services(WDS)やMicrosoft Intuneを活用した一括展開が効果的です。まずマスターイメージを作成し、ネットワーク経由で配信する方法が一般的です。ただし、段階的な展開を強く推奨します。IT部門から開始し、各部門へ順次拡大することで、問題発生時の影響を最小限に抑えられます。また、専門のキッティングサービスを利用することで、内部リソースを節約しながら確実な作業が実現できます。

投稿日:2025年10月23日
最終更新日:2025年10月27日
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