パソコンを初期化して再度環境設定を行うと聞けば、かなり面倒なイメージがあります。以前は、パソコンの調子が悪いときは気軽に初期化していたものです。最近のWindowsではその必要は少なくなりましたが、それでもいったんパソコンを初期化すると、かなり快適に使えるようになります。
ここでは、Windows 10パソコンの初期化についての概要や手法、注意点を説明します。
初期化とは、なんらかの事情でパソコンを購入時の状態に戻すことです。再セットアップ、クリーンインストール、リカバリー、工場出荷時に戻す、などという言い方もあります。
パソコンの動作にトラブルがある場合、初期化を行うことで、ハードウェアとソフトウェアのどちらに問題があるのかを切り分けることが可能です。ソフトウェアの異常は初期化によって停止します。初期化してもトラブルが残っていれば、ハードウェアに異常があるということです。
初期化の方法は、OSにより異なります。独自の方法やディスクを用意しているパソコンメーカーもあります。この記事で扱うのは、Windows 10の機能を利用した標準的な手順です。
初期化を行うと、パソコンは工場出荷時の状態に戻るので、次のものはすべて使えない状態になります。
また、初期化することで感染したウイルスも削除されるので、安心して使うことができます。
初期化したパソコンをこれまでと同じように使うためには、これまでのアップデートやインストールをすべてやり直し、環境を整える必要があります。
ただし、初期化によって使えなくなったデータは、完全に削除されるわけではありません。ツールを使えば復元も可能です。
データ消去については、以下の記事もご参照ください。
パソコンのデータ消去は削除だけでは不完全?完全消去するのに必要な方法とはパソコンの環境を整えるには、システムイメージの復元という方法もあります。これは、現在使っているパソコンの環境を、そっくりそのまま復元することです。新しいパソコンへの移行や、記憶媒体の交換などのタイミングで行われます。
ただし、システムイメージの復元ではそれまでのトラブルの原因もそのまま復元されてしまうため、トラブルの解決にはなりません。
パソコンの初期化は、次のような場合に行われます。
パソコンを処分するときには、データを削除するために初期化することが多いでしょう。 しかし、初期化だけではデータを完全に削除することはできません。パソコンを処分するときには、初期化だけではなく記憶媒体のデータ消去を行う必要があります。
パソコンの動作に問題があるときには、初期化して工場出荷時の状態に戻すと、正常に動作することが多いです。
システムファイルを削除すると、OSの一部が削除されてしまい、正常に動作しなくなります。 初期化を行ってOSを再インストールすれば、正常に動作させることが可能です。
パソコンの動作が不安定になったり遅くなったりしたときには、初期化を行ってその原因を取り除けば、安定動作を回復できます。
パソコンの初期化には、次のようなメリットとデメリットがあります。
初期化することで、使用しているうちに溜まったキャッシュといった不要なデータが削除され、記憶媒体の空き容量が大きくなるため、動作が速くなります。
初期化することで、レジストリにたまった不要なデータが消え、動作が安定します。
初期化すると、パソコン内に保存されていたデータが見えなくなります。復元ツールを使えば復元可能ですが、通常の操作では見ることも編集することもできません。
ウイルスもアプリケーションのひとつなので、初期化することで削除されます。
初期化することで、これまでに作成・保存したデータが消えたように見えます。実際に消えているわけではなくても、通常の操作では見ることも編集することもできません。
初期化することで、パソコンは工場出荷時の状態に戻ります。それまで行ったOSやアプリケーションのインストールやアップデートなども消えてしまうので、環境構築をやり直さなくてはなりません。
初期化によってパソコンが工場出荷時の状態に戻るため、OSやアプリケーションのアップデートも消えてしまいます。セキュリティパッチも消えた状態なので、初期化直後はウイルス感染のリスクが高くなります。
Windows 10を搭載しているパソコンの場合、初期化の手法は5つあります。
ここでは「Windowsの設定から初期化を行う方法」を説明します。これは、もっとも汎用的で機種に依存しない方法です。ただし、Windowsが普通に起動している場合にしか使えません。
1. 事前の準備
初期化後に速やかに環境の再構築を行うため、次のような準備をしておきます。
・データのバックアップ
・アプリケーションとパスワードの確認
・現在の設定のメモ
・Microsoft アカウントの確認
・周辺機器の取り外し
・電源の接続確認
・Windowsアップデート
初期化にはWindowsの機能を利用するため、Windowsアップデートを行って、Windowsを最新の状態にしておきます。
2.「スタート」から「設定」をクリックします。
「設定」ウインドウが開いたら、「更新とセキュリティ」から「回復」をクリックします。
3.「このPCを初期状態に戻す」で「開始する」をクリックします。
4. ここで、オプションを選択できます。「個人用ファイルを保持する」、「すべて削除する」のどちらかをクリックします。
通常のリカバリーでは「個人用ファイルを保持する」で構いませんが、初期化による動作の安定や高速化を目的とするのであれば「すべて削除する」をクリックします。
5. この段階で、初期化と同時にドライブのクリーニングを行うこともできます。「ファイルの削除のみ行う」か「ファイルを削除してドライブのクリーニングを実行する」の好きなほうを選択してください。ドライブのクリーニングを行うと、データの復元がしにくくなりますが、長い時間がかかります。
また、パソコンに複数のドライブがある場合、この段階で初期化するドライブを「Windowsがインストールされているドライブのみ」か「すべてのドライブ」から選択可能です。
6.「お使いのアプリは削除されます」画面で、「次へ」をクリックします。
7.「このPCをリセットする準備ができました」画面で「リセット」をクリックすると、初期化が始まります。
初期化を行うときには、次のような点に注意してください。
初期化では、全ての記憶領域のデータを完全に削除するわけではありません。復元ツールを使えば、復元することが可能です。
パソコンを処分するときには、専門業者によるデータ消去、あるいは記憶媒体の物理破壊等を行い、復元できない状態にしましょう。
初期化の間には何回もWindowsの再起動やアップデートを行うため、かなり時間がかかります。また、環境の再構築にも時間が必要です。まとまった時間を確保して行いましょう。
Windowsの再起動やアプリケーションのインストールなど、時間や電力のかかる作業が多いため、ノートパソコンの場合は、バッテリーだけでなく、電源に接続されていることを確認してください。
初期化すると、これまでのデータは使うことができなくなります。必ずバックアップを作成し、あとで戻せるようにしておいてください。
初期化によってパソコンが工場出荷時の状態に戻るため、OSやアプリケーションのアップデートでインストールされたセキュリティパッチも消えた状態です。そのため、初期化直後はウイルス感染のリスクが高い、非常に脆弱な状態といえます。できるだけ速やかにアップデートを行ってください。
Windows 10では、初期化をかなり手軽に行えるようになりました。作業自体は難しいものではなく、高速で安定した動作が可能になるなど、一定のメリットもあります。ただし、初期化すると環境の再構築が必要になったり、まだまだ時間や手間がかかったりするなど、一定のデメリットもあることには注意が必要です。
また、初期化でデータはすべて消えるわけではありません。本で例えれば、目次が削除されているだけで本文が残っているという、あくまで一時的に見えない状態にされているだけで、復元専用のツールを使えば復元することが可能です。パソコンを処分するときには、初期化ではなく、専門業者に依頼してデータの消去や記憶媒体の破壊を行いましょう。
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