「なぜ情報システム部門は費用部門と見られがちなのか」「もっと経営に貢献できるはずなのに日常業務に追われてしまう」このような悩みを抱える情シス担当者は多いのではないでしょうか。多くの企業で情シス部門は、システムの運用保守やトラブル対応に時間を取られ、本来注力すべき戦略的な業務に十分な時間を割けていないのが現状です。
本記事では、情シス部門が担うべき真のコア業務を明確に定義し、戦略的なIT部門へと転換するための具体的なステップを解説します。リソースを効果的に活用し、企業の競争力強化に直結する価値創造型の情シス組織を目指しましょう。
情報システム部門の真のコア業務とは何か。日々の運用業務に追われる中で、本来注力すべき業務を見失っている情シス部門は少なくありません。人材や時間を最大限活用するためには、まず自部門の役割と責任範囲を明確に定義し直すことが重要です。
情シスのコア業務とは、企業の競争力向上や事業成長に直接寄与する戦略的な業務を指します。具体的には、IT戦略の策定、新システムの企画・導入、デジタル化推進、データ活用戦略の立案などが該当します。一方、PCキッティングや設定作業、問い合わせ対応、定期メンテナンスなどはノンコア業務として位置づけられます。
ただし、ノンコア業務を軽視すべきではありません。これらは業務継続に不可欠な基盤業務であり、品質を保ちながら効率化を図ることが重要です。自動化ツールの活用やPCレンタルサービスアウトソーシングにより、これらの業務を標準化・省力化することで、内部人材をより付加価値の高いコア業務に集中させることができます。
真にコア業務と言えるのは、経営目標の達成に直結し、他部門では代替できない専門性を要する業務です。事業戦略とIT戦略の整合性確保、新技術による業務革新の提案、セキュリティリスクの戦略的管理などは、情シス部門ならではの高付加価値業務といえます。
情シス部門がコア業務に集中することで得られるメリットは多岐にわたります。まず、担当者のスキル向上と専門性の深化が挙げられます。日常的なトラブル対応から解放されることで、新技術の習得や業務分析に時間を投資でき、個人のキャリア発展にもつながります。
また、最新技術トレンドへの対応力が向上します。AI、クラウド、セキュリティなどの急速に変化する技術領域において、継続的な学習と実証実験に取り組む時間的余裕が生まれます。
さらに、社内の他部門との連携が深まります。現場の課題を理解し、ITソリューションによる解決策を提案する時間が確保できるため、情シス部門の企業内での地位向上と予算確保の正当性を示すことができます。結果として、組織全体の生産性向上と競争力強化に直結する価値創造型の情シス組織への転換が実現できます。
多くの情シス部門では、コア業務とノンコア業務が混在し、重要度の低い作業に多くの時間を費やしているケースが見られます。まずは現在の業務を詳細に棚卸しし、経営貢献度と専門性の高さで評価・分類することが重要です。
例えば、問い合わせ対応に週の大半を費やしている場合、FAQの整備やアウトソーシングにより工数削減を図り、その分をシステム企画や新技術検証などに振り向けることが可能になります。
コア業務への集中を実現するには、ノンコア業務の効率化やアウトソーシングにより、戦略的業務に注力できる環境を整備する必要があります。特に人材不足が深刻化している現状では、限られたリソースを最大限活用する工夫が重要です。IT人材不足の根本的な解決策については、「IT人材不足の現実と対策:情シス部門に必要な多角的アプローチ」で詳しく解説しています。
定型的な運用業務や監視業務は、自動化ツールやクラウドサービスの活用により大幅な効率化が可能です。また、よくある問い合わせについてはFAQシステムやチャットボットの導入により、担当者の対応工数を削減できます。これらの施策により、コア業務に割ける時間を確保します。
すべての業務を内製化する必要はありません。ヘルプデスク業務、PC管理、システム運用監視などのノンコア業務は専門性の高い外部パートナーにアウトソーシングすることで、品質向上とコスト最適化を両立できます。内部人材は企画立案や戦略策定など、より付加価値の高い業務に専念できます。
例えば、パシフィックネットのヘルプデスクサービスでは、各種アプリケーションの問い合わせ対応から、PC・周辺機器のトラブルシューティング、アカウント管理まで幅広く対応します。また、PCレンタルサービスではPC調達から故障対応、データ消去まで企業のIT資産管理をトータルサポートし、情シス部門の業務負荷を大幅に軽減します。
コア業務を担うには技術的専門性だけでなく、ビジネス理解力や企画力も必要です。チームメンバーのスキル特性を把握し、戦略系、技術系、運用系などの役割分担を明確化することで、各自の強みを生かした効率的な業務遂行が可能になります。
コア業務中心の組織への転換は戦略的なアプローチが必要です。社内の理解促進から具体的な業務移管まで、計画的に進めることで持続可能な変革を実現できます。本節では、効果的な転換を図る実践的なステップを解説します。
情シス部門がコア業務を効果的に遂行するには、社内での役割や貢献を正しく理解してもらうことが重要です。各部門との定期的な情報交換を通じて現場の課題やニーズを把握し、IT施策との整合性を図ります。
効果的なのは、プロジェクトの成果を具体的な数値で示すことです。新システム導入による作業時間短縮やエラー削減率を定量的に報告することで、情シス部門の取り組みが業務改善に直結していることを明確に伝えられます。また、専門用語を避け、「なぜその取り組みが必要なのか」「どのような改善が期待できるのか」を分かりやすく説明することで、社内の理解と協力を得やすくなります。
一度にすべてを変えるのではなく、段階的にノンコア業務のアウトソーシングや自動化を進めます。まずは影響範囲の小さい業務から着手し、成功事例を積み重ねることで組織全体の理解を得ながら変革を推進します。同時に新しい役割に対応した評価制度や人材育成プログラムの見直しも並行して実施します。
コア業務への集中環境が整ったら、実際の成果創出に向けた具体的な取り組みが重要です。戦略的な業務に時間を割けるようになったとしても、その時間を有効活用できなければ意味がありません。新しい業務の進め方やアプローチを身につけ、情シス部門としての価値を最大化する手法を習得することが求められます。
情シス部門は「企業内のデータをもっとも理解している部門」として、データ活用による経営支援を積極的に推進します。BIツールの導入やダッシュボードの構築により、経営陣が迅速かつ的確な判断を下せる環境を整備し、企業の意思決定力向上に貢献します。
コア業務への集中効果を継続的に向上させるには、取り組みの成果を具体的に把握することが重要です。ノンコア業務の効率化により削減できた工数、新たに着手できたプロジェクト数、スキルアップのための学習時間などを定期的に記録し、変化を可視化します。
また、月次の振り返りミーティングで「どの業務が効率化されたか」「新しく取り組めた業務は何か」「さらに改善できる点はないか」をチーム内で話し合い、現場目線での改善点を洗い出します。これらの振り返りを通じて、自動化ツールの活用範囲やアウトソーシングの検討、新たな効率化施策を検討し、より良い業務環境づくりを継続します。
情シス部門がコア業務に集中することで、単なる費用部門から価値創造部門への転換が可能になります。ノンコア業務の効率化と外部活用により創出した時間を、戦略的なIT企画や新技術の導入検討に振り向けることで、企業の競争力強化に直接貢献できます。変革には時間がかかりますが、明確なビジョンと段階的なアプローチにより、必ず成果を実現できるでしょう。
パシフィックネットは、PCレンタルサービスからキッティング、ヘルプデスク、データ消去まで、企業のIT資産管理をトータルサポートする専門企業です。20年以上の実績と経験豊富なエンジニアチームにより、情報システム部門の戦略的価値向上とコア業務への集中を支援します。ノンコア業務のアウトソーシングをご検討の企業様は、お気軽にお問い合わせください。