いまやビジネスに欠かせないアイテムのひとつになったパソコン。データ・文書作成、分析、情報検索、コミュニケーションなど業務のあらゆる面で、パソコンが大きな役割を果たしています。しかし、以前に比べれば安価にはなったものの、業務効率化を実現するためには、ある程度のスペックを備えた機種が必要です。そうなれば導入コストもかさみます。そのような場合、従来は多くの企業では購入のほかにリース契約を活用していましたが、最近ではレンタルの活用も増えています。今回は、企業にとって欠かせないパソコン導入においての、「購入」「リース」「レンタル」それぞれの違い、メリット・デメリットを見ていきましょう。
企業でパソコンを導入する際の方法として、レンタル、リース、購入がありますが、それぞれの違いは次のとおりです。
パソコンのレンタルを行っている会社から、パソコンを借り受けて利用する方式です。レンタル会社が在庫としている機種であれば、メーカーにかかわらずレンタルが可能です。またレンタル会社によっては、希望する機種を指定して借り受ける事も可能です。
パソコンのリースを行っている会社から、パソコンを借り受ける点ではレンタルと変わりません。リース会社の在庫にあるものではなく、企業が希望する機種をリース会社が企業に代わって購入したものを借り受ける方式です。
企業が希望する機種を販売店から購入して利用する方式です。レンタルやリースとは異なり、返却する必要はありません。
レンタル期間は、1年未満の短期レンタルと1年以上の中長期レンタルに分けられます。短期レンタルでは、最短で1日だけ、1週間だけといった契約も可能です(最短の契約期間が1週間のレンタル会社もあります)。
また、仮に3年契約をしていた場合に1年で解約をしたとしても、違約金は発生しません(契約年数による設定料金と実際のレンタル期間の設定料金との差額は清算金として支払う必要があります)。レンタル料金の基本的な考え方としては、「利用日数×契約年(月・日)数による1日の設定料金」です。
リースは税務上、法定耐用年数を基に適正なリース期間が決まっています。そのため、レンタルのようには自由に契約期間を決められません。法定耐用年数が10年未満の場合、適正リース期間は、「法定耐用年数×70%以上(端数切捨)」で算出します。
パソコンの法定耐用年数は4年のため、「4年×70%=2.8年」となり、適正なリース期間は最低2年以上です。
また、レンタルと異なるのは、途中解約をした場合、当初の契約年数の残額をすべて支払わなければならない点です。仮に4年契約をしていて、3年で解除したい場合は残り1年分も解約時に支払う必要があります。支払い料金の基本的な考え方としては、「リース金額÷契約年数」です。
レンタルやリースは、あくまで借り受ける形式のため、企業で使っていても所有権を持っているのは、レンタル会社やリース会社です。しかし、購入した場合は自社が所有権を持つため、使用期間に制限はありません。
ただし、リースの項目でも説明したようにパソコンの法定耐用年数は4年となるため、4年を過ぎてしまうと経理上は資産としての価値はなくなってしまいます。
レンタルの場合、故障した場合や保守にかかるコストはすべてレンタル会社負担です。状況によっては代替機の提供を受けられる場合もあります。
レンタル同様、リースの場合も所有権はリース会社にありますが、故障対応や保守対応は企業側の負担で行う必要があります。
購入の場合、当然ながら故障や保守にかかるコストはすべて企業の負担となります。
レンタル、リース、購入。それぞれの違いを見たところで、次はそれぞれのメリットとデメリットを説明します。
企業では、イベントや研修などで急きょ、大量のパソコンが1日から数日間だけ必要になる場合があります。この際、レンタルであれば、1日~1週間といった契約も可能です。また、在庫さえあれば、急に必要になった場合でも数十台から百台程度の利用が可能なのも大きなメリットといえるでしょう。
例えば、レンタルしたパソコンを使っていた社員が転職や異動で利用しなくなってしまった場合、契約期間中であってもリースとは異なり高額な違約金を支払うことなく解約ができます(契約期間変更による、レンタル月額費の引き直し計算による清算金は必要となります)。また、急に人員が増えた場合でも同じ機種の台数追加も容易に行えます。
パソコンは定期的に新しい機種が発表されますが、レンタルであれば、新しい機種が出るたびに以前のものを解約して新機種に切り替えて契約し、常に新しい機種を使用するといったフレキシブルな対応も可能です。
レンタルは、ほとんどの場合、デバイスが個別設定やソフトウェアや指定のアプリのインストールなどを行った上で納入される他、故障時の対応や代替機の用意を含めた使用中のサポート、返却時のデータ消去等も含まれています。そのため、購入やリースと比較し、デバイス管理者の業務負荷が大幅に軽減され、人件費等の見えないコストを含めたトータルでの費用が抑えられます。
リースや購入の場合、返却時もしくは廃棄時に自社でデータを消去しなくてはなりません。そのため、HDDのデータ消去を行わずに廃棄してしまい、情報が漏えいしてしまったケースも実際に発生しています。しかしレンタルであれば、多くの場合、返却後のデータの完全消去を標準サービスとして行っているため、万が一の情報漏えいリスクも低減します。
長期間レンタルした場合、同じ機種をリースや購入した際に比べて、デバイスのコストだけを見ると割高になる場合があります。しかし、開梱・キッティング・故障時の対応等の管理の手間などを考慮すると、管理者の人件費などを含むトータルコストでは安価になることが多い。
購入はもちろん、リースの場合も基本的には企業側が望む機種の選択が可能です。しかしレンタルの場合、レンタル会社の在庫の中から機種を選定することが多いため、希望の機種が選べない場合があります(レンタル会社によっては、希望する機種を指定して借り受ける事も可能)。
リースは企業が望む機種をリース会社が代理で購入し、それを借り受けるシステムです。そのため、企業が望むスペックの機種を導入できます。
リースはレンタルのように在庫がないと借りられないといったことはありません。そのため、最新の機種を、一括で支払う購入よりも低コストで導入が可能です。
リース契約は原則として中途解約ができません。やむをえない事情により解約する場合には違約金が発生するため、状況によっては無駄なコストとなってしまいます。また多くの場合4~5年の契約であるため、スペックが最新のものでない機種を使い続ける必要があり、作業効率の低下が発生する場合があります。
リースでは、故障時の対応、修理、保守はもちろん、返却時のデータ消去もすべて利用する企業が行わなければなりません。そのため、業務負荷も多く、また最終的にかかるコストも高くなってしまいます。
購入は返却の必要がないため、自社の用途に応じて自由にメモリやストレージの増設等のカスタマイズが行えます。その結果、業務効率や生産性の向上も期待できます。
最新のスペックを必要とする業務でなければ、耐用年数を超えてもバージョンアップや適切な更新により利用し続けられます。そのため、レンタルやリースよりもデバイスに関するコストは抑えられる場合もありますが、一般的にパソコンは3年を超えると故障率が急激に上がるため、保守やサポートの費用が増大します。また故障で業務を停止しなければならない場合は、さらに損失が大きくなってしまいます。
購入費10万円(税別)未満の機種の場合、減価償却ができず全額が費用計上の必要があるため、台数によっては初期導入コストが膨大になる場合があります。
レンタルの場合、低コストで最新の機種を利用できますが、購入の場合は、都度新たに調達する必要があり、コストが増加してしまいます。
故障や最新機種が必要になった際の買い換えで、急きょコストが発生する場合があります。レンタルやリースのようにコストの平準化をすることが難しいため、管理が困難です。
レンタル、リース、購入それぞれにメリット・デメリットを見てきましたが、ここではレンタルがおすすめの企業とはどういった企業なのか、主な例を紹介します。
「季節ものを扱っている」「開発系の業務が中心」など、繁忙期と閑散期の差が大きい企業は、繁忙期だけ人材を増やすといったケースが多いため、短期間だけ利用が可能なレンタルパソコンがおすすめです。
テレワークを導入する場合の課題として、在宅勤務者用のパソコンを急遽数十台用意しなくてはならないといったケースがあります。その際、リースや購入に比べ、レンタルのほうが大量のパソコンを低コストで素早く、すぐに使えるよう事前設定(キッティング)された状態での調達が可能です。
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今回、企業でパソコンを導入する際の方法とそれぞれのメリット・デメリットを紹介しました。ただし、企業によって利用目的や頻度は異なるため、どの方法が最適なのかは一概にはいえません。 重要なポイントは、パソコン導入時に利用目的と頻度を明確にすることです。短期間なのか、長期なのか、何台必要なのか、最新の機種でなければならないのかなど、総合的に検討したうえで最適な方法を選択しましょう。