2026年、ハイブリッドワークとマルチクラウド環境がスタンダードとなった現代のIT管理において、Windowsデバイスの導入手法は劇的な進化を遂げています。多くの時間と物理的なスペース、そしてコストも要していた「キッティング」と呼ばれる作業は、クラウドの力で「体験」へと昇華させた技術、それがWindows Autopilotです。
本コラムでは、次世代の展開手法として注目される「Windows Autopilot デバイスの準備」を取り上げます。デバイス登録の手間を削減するこの新機能について、展開手順と、安定運用のためのポイントをご紹介します。
<関連資料>
Intune×Autopilotを活用し、
属人化・セキュリティリスク・業務負荷から
解放される実践ロードマップです。
導入を成功するためのプロセスも
分かりやすく解説しています。
従来のデバイス導入では、マスターPCから抽出した「イメージ」を全端末に展開する「ワイプ&ロード」が主流でした。
しかしこの手法には以下の課題がありました。
Windows Autopilotがもたらしたのは、OSを書き換えるのではなく、工場出荷状態のOSをクラウド経由で「組織専用にカスタマイズ(プロビジョニング)」するという新しいキッティングの形でした。ユーザーは箱を開け、インターネットに接続し、組織の資格情報でログインするだけで、必要なアプリやポリシーが自動的に配置されます。この「ゼロ タッチ デプロイメント(ZTD)」こそが、Autopilotの真髄です。
Autopilotは登場以来、進化を続けてきました。特に2024年後半から2025年にかけて実装された「Windows
Autopilot デバイスの準備」は、
従来の運用を大きく変えました。
従来のAutopilot(現在はv1とも呼ばれる)では、デバイスのハードウェアハッシュを事前に取得し、IntuneにAutopilotデバイスとして登録する必要がありました。しかし、このプロセスには以下のような多くの「運用上の制限」が存在していました。
2024年後半から普及が進んだ「Windows Autopilot
デバイスの準備(v2)」は、
従来のハードウェアハッシュの事前アップロードを不要にする画期的な仕組みを採用しています。
最大の特徴は、「事前にデバイスを1台ずつ登録するのではなく、サインインするユーザーの属性に基づいて、その場でデバイスをプロビジョニングする」というアプローチへの転換です。 具体的には、以下の点が改善されています。
「Windows Autopilot デバイスの準備」は単なる簡略化にとどまりません。レポート機能も強化されています。
従来のAutopilotでは、セットアップ中のどのステップでエラーが起きているのかが分かりにくいという課題がありました。
v2では、以下の点が改善されています。
まず、Microsoft Entra ID と Microsoft Intune の連携を完了させます。「MDM ユーザースコープ」を適切に設定し、ユーザーがデバイスを登録できる権限を付与する必要があります。
2つのセキュリティグループをあらかじめ作成しておきます。
Intune 管理センターでポリシーを作成します。
デバイスがどのような挙動をするかを定義する「Autopilot
プロファイル」を作成し、以下の項目を設定します。
配置モード: ユーザー主導型か、自己展開型を選択します。
「Windows Autopilot
デバイスの準備」を安定運用する鍵は、従来の「デバイス管理」から「ユーザー主体の展開」へと
マインドセットを切り替えることです。
最大のポイントは、グループ設計の変更です。
従来のような「動的デバイスグループ」の反映待ちが発生しません。ポリシーで指定した静的グループにデバイスが即座に自動追加されるため、セットアップ開始までのタイムラグがほぼゼロになります。この利点を最大限に活かした迅速な展開計画が立てられます。
次に重要なのが、配布項目の厳選です。
「Windows Autopilot
デバイスの準備」では、セットアップの進捗を管理(トラッキング)できるアプリとスクリプトが最大
10 個に
制限されています。
初期設定を迅速に完了させるため、業務開始に必須の最小限の項目のみをトラッキング対象とし、その他の重いアプリはセットアップ完了後にバックグラウンドで配布する等の「切り分け」がスムーズな運用のコツです。
また、ハードウェアハッシュが不要になったことで、修理による基板交換や急な PC 調達にも柔軟に対応できるようになります。
一方で、誰でもサインインすれば組織管理下に入れることになるため、条件付きアクセスによる多要素認証(MFA)の強制など、
アイデンティティ側のセキュリティ強化をセットで検討することが不可欠です。
解説は以上です。
パシフィックネットは、確かな技術力をもとに、お客様に合った最適な環境をご提案・構築いたします。
ご質問やご相談がございましたら、お気軽に当社まで
ご相談・お問い合わせください。
執筆者:水口 博文