パソコンを選ぶときに悩むことが多いのが「スペック」です。とくに、法人用のパソコンを選ぶときには、どの程度のスペックが必要なのかをよく検討する必要があります。法人で利用するパソコンでも、用途によってまったく選定ポイントが異なるからです。ここでは、法人向け(ビジネス用)のパソコンで重視すべきスペックについて説明します。
スペック(spec)とはspecificationの略で、「仕様」という意味です。内部や外形に関する情報、たとえば、次のような内容はすべて「スペック」と呼ばれます。
スペックという言葉はパソコン本体だけでなく、プリンターやキーボードなどの周辺機器、ソフトウェアの仕様についても使われます。
パソコンの導入前、機種を選定するときには、使いたい用途に合わせた性能があるかどうかを確認するために、スペックを確認します。
導入するパソコンが、すべての面で高性能なパソコンである必要はありません。特に法人では、部署や職種の利用目的に合わせて、必要なスペックを満たすものを選べばいいのです。
どの機種がどのようなスペックを持っているかは、カタログや公式サイトなどで確認できます。
・Windows 11の場合
Windowsのメニューから、「設定」→「システム」→「バージョン情報」の順にクリックします。
すると、「デバイスの仕様」と「Windowsの仕様」が表示され、CPU・メモリ・OSバージョンなど、パソコンの基本スペックを確認できます。
・Macの場合
画面左上に出てくるメニューバーで、Appleアイコンのリンゴマークをクリックします。すると、「このMacについて」でパソコンのスペックが表示されます。
法人向け(ビジネス用)パソコンをスペックに注目して選定するポイントは、用途を明確にすることです。
1. どの部署でどのように使われるのか、用途を明確にします。
2. 用途が決まれば、必要な機能やアプリケーションが決まります。
3. 必要な機能やアプリケーションによって必要なスペックが決まります。
4. 必要なスペックを満たしている機種のなかで、コストパフォーマンスの良いもの、必要な台数が揃うものを選びます。
スペックを重視して用途別にパソコンを選ぶときは、以下の項目で次のようなことに注目します。
ここに挙げるのは一般的な項目ですが、必要な機能に応じて必要なスペックは変わります。
Central Processing Unit の略で、日本語では中央処理装置、中央演算処理装置ともいいます。
コンピュータにおけるメインの情報処理装置です。コンピュータの頭脳といわれ、CPUの速度は全体の処理速度に大きく影響します。
CPUには主にインテル製とAMD製があり、現在はどちらもビジネス用途で広く利用されています。インテル製は安定性や対応ソフトの幅広さ、AMD製はコストパフォーマンスの高さに強みがあり、用途や業務内容に応じて選定することが重要です。また、CPU性能は世代やコア数、クロック周波数などによって変わります。一般的には、新しい世代ほど高性能で、コア数が多いほど複数処理に強くなります。
現在の法人利用では、メールやOfficeソフト中心の一般業務であれば、インテル Core i3 / AMD Ryzen 3クラスでも対応可能です。一方で、Web会議や複数アプリの同時利用、生成AIの活用などを快適に行うために、Core i5 / Ryzen 5クラス以上が選ばれるケースも増えています。なお、パソコン全体の快適性はCPUだけでなく、メモリ容量やストレージ性能とのバランスも重要です。
Memory、メインメモリ、主記憶装置などともいいます。
パソコンの作業領域で、データやプログラムを一時的に記憶する部品です。作業机に例えられます。メモリの容量が大きいほど全体の処理速度が速くなり、安定動作が可能です。メモリが足りない場合はHDDやSSDの一部がメモリとして利用されますが、速度は大きく低下します。
スペックの「実装メモリ(RAM)」で表記されている数値がメモリ容量です。複数のアプリケーションを同時に扱ったり、画像や動画を扱ったりするなら、大きなメモリが必要になります。現在では8GB~16GBが主流になりつつあります。特に、TeamsやZoomなどのWeb会議ツールを利用しながら、Word・Excel・ブラウザを同時に使用するリモートワーク環境や、生成AIを活用する業務環境では、16GBあると快適に動作しやすくなります。
また、Adobe製品を利用した画像編集・動画編集や、プログラミングのローカル実行など負荷の高い作業を行う場合は、32GB程度のメモリが推奨されます。
ノートパソコンの場合、あとからメモリを追加するのは難しいことも多いので、最初に多めのメモリを用意しておきたいものです。ただしコストが上がるので、予算と相談する必要があります。
ストレージ、二次記憶装置、補助記憶装置などともいいます。
記憶媒体として、システム、アプリケーション、データなどを保存する部分です。HDDとSSDがありますが、HDDはSSDよりも安くて大容量な一方、処理速度は遅くなります。SSDは処理速度に優れており、容量によって価格差が大きくなる傾向があります。現在のビジネス向けパソコンではSSDが主流となっています。
「設定」→「システム」→「ストレージ」のローカルディスク(Cドライブ)と表記されている部分で容量を確認できます。一定量はファイルシステムなどに使われるので、容量のすべてを使えるわけではありません。外付けのストレージがあれば、Dドライブ以降のアルファベットも追加されます。 最近はクラウドサービスの利用が進み、ローカルディスクにデータを保存することも少なくなっているので、一般的な業務内容なら256GB程度でも十分運用できるケースがあります。
一方で、Windows 11やWeb会議ツール、各種業務アプリの利用により、以前よりストレージ消費量は増える傾向にあります。 画像や動画を扱うなら、512GB以上が良いでしょう。
ビデオカード、グラフィックカードともいいます。
画面の出力や、画像・動画の処理を行う部品です。CPUやマザーボードに組み込まれているもの(オンボードグラフィック)もあれば、グラフィックボードという部品のかたちであとから追加するものもあります。グラフィックボードの性能は、画像描画の速度や画像の美しさを決めるものです。
通常の使い方なら、オンボードグラフィックで十分でしょう。デザイナーなど画像や動画を扱う場合には、外部グラフィックスボードを追加すると、画像処理が格段に楽になります。 グラフィックボードの中心となる部品をGPU(Graphics Processing Unit)といいます。グラフィックボードのメーカーは何種類かありますが、代表的なGPUには NVIDIA社の「NVIDIA GeForce」やAMD社の「AMD Radeon」があります。 ゲームならGeForceを利用したグラフィックボード、マルチメディア処理を行うならRadeonを利用したものが選ばれる傾向がありますが、好みでかまいません。
パソコンやディスプレイのサイズです。重量も重要なポイントです。
携帯性を重視するか、操作性を重視するかで選び方は変わります。ノートパソコンなら、全体のサイズは携帯性やディスプレイのサイズにもかかわるので重要なポイントです。
オフィスに置きっぱなしなら、より大きなディスプレイの機種を選ぶと快適に使用できます。解像度はFHD(フルHD 1,920×1,080)以上がおすすめです。解像度が高ければ1つのドットが細かくなり、よりなめらかな画像になるうえ、1画面に表示できる量が多くなります。画像処理を行うなら、より大きめの画面が便利でしょう。
ノートパソコンの場合は、現在はFHDクラスの解像度が主流となっています。 一方で、HD(1,280×720)クラスのモデルは、低価格帯や最低限の業務用途向けとして利用されるケースもあります。
最近はテレワークの増加で、持ち運びやすい13〜15インチ程度のサイズと、重量1.0〜1.5kgくらいのノートパソコンが人気です。
オペレーティングシステム、Operating System、基本ソフトなどともいいます。OSを選ぶことで、ハードウェアも自然に決まってきます。
ハードウェアとアプリケーションの中間にあり、パソコンのリソースや、インターフェイスを管理します。また、アプリケーションの動作のベースとなります。
ビジネス向けなら管理機能やセキュリティ機能が充実しているWindows 11 Proを選ぶことがほとんどです。画像編集や動画編集などのクリエイティブ用途では、macOSを選ぶ場合もあります。
用途によっては、次のような部分も選定のポイントになります。
リモートワークの定着により無線LAN(Wi-Fi)は現在のノートパソコンでは標準的に搭載されており、近年はWi-Fi 6やWi-Fi 7に対応したモデルも増えています。 また、モバイル向けモデルの中にはLTE(4G)や5G通信に対応したものもあります。外出先ではスマートフォンのテザリングやモバイルルーターを利用するケースも多いため、利用環境に応じて通信方法を確認しておくと安心でしょう。 一方で、有線LANポートは薄型モデルでは省略されるケースも増えているため、オフィス内で有線接続が必要な場合は事前に確認しておきましょう
USBポートは、一般的なノートパソコンなら2個から3個ついています。ただしType-A やType-C などが混在しています。
また、特定の外部ディスプレイを使いたいなら、HDMIやType-Cなど対応する適合する接続端子のある機種を選定する必要があります。
光学ドライブとは、CD、DVD、BDなどを読み書きできるドライブのことです。光ディスクドライブを内蔵すると厚みや重さが増すため、モバイル用ノートパソコンには搭載されていないことが多いでしょう。別売りで外付けも可能です。
最近では、AI処理を効率化するための専用プロセッサ(NPU)を搭載した「AI PC」も登場しています。一般的な企業の業務用途においては必須ではありませんが、今後のAI活用を見据えて、対応モデルを選択肢に含めるケースも増えています。
企業で利用するパソコンで重視するところは、スペックだけではありません。選定するときには、次のような点も確認する必要があります。
導入パソコンを選定するときには、スペックの確認が重要です。ひと口にビジネス用のノートパソコンといっても、部署によって使用目的は異なるでしょう。例えば、同じ会社の中でも数字を扱う経理部門と画像を扱う部門では、必要なスペックが異なるため、調達するパソコンも異なります。
希望するスペックのパソコンを一度に多数揃えるのが大変な場合は、パソコンレンタルの利用がおすすめです。パソコンレンタルなら、必要なスペックのマシンを必要なだけ利用し、全体の費用を抑えることもできるでしょう。
パソコンレンタルについての詳細は、以下もご参照ください。
【法人向け】パソコンレンタルとは?メリットやシーン別の選定ポイントも紹介
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