データ消去といえば、ハードディスクを初期化すればよいと思っている人も多いようです。しかしそれでは、完全にデータを消すことはできません。企業のパソコンは完全にデータ消去を行ってから処分しなければ、あとから大きなトラブルにもなってしまいます。完全にデータを消去し、安心してパソコンを処分するためにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、データの完全消去には何が必要か、なぜ初期化ではだめなのかを説明します。
企業のパソコンのハードディスク(HDD)や SSDなどの記憶媒体には、多くの機密情報や個人情報が保存されています。不要なパソコンをそのまま処分すれば、悪用されたり、自社および第三者に大きな損害を与えたりする危険も大きいのです。企業のパソコンを処分するときには、記憶媒体内の情報を完全に消去しなくてはなりません。
部署によって異なりますが、企業で業務に使用しているパソコンには、通常、次のような機密情報や個人情報が含まれています。
・企業の財務や経営状況に関する情報(貸借対照表、損益計算書など)
・企業の人事に関する情報や従業員の個人情報(住所、電話番号、履歴書、評価など)
・顧客の個人情報や企業に関する情報(住所氏名、会社名や役職など)
・顧客の購買履歴や決済に関する情報(購買志向、クレジットカード番号など)
・設計、ノウハウ、アイデアなど技術開発に関する情報(開発情報、デザイン、研究結果、画像など)
機密情報や顧客情報が流出すると、次のようなことが起こり、経営上の損失が発生したり、刑事上の責任を問われたりする可能性があります。
・情報を流出させた企業の信用が失墜する
・流出した情報を悪用され、自社や取引先に損害が発生する
・情報が流出して損害が発生した取引先から訴えられる
・流出した情報が悪用されると、流出元の企業や社員は、罰則を受けたり、刑事上の責任を問われたりする
このような状況を防ぐためには、パソコンのデータを完全に消去しなくてはなりません。データ消去は、ユーザー、つまり企業の責任範囲です。
パソコンが壊れていても、多くの場合、データは読み取れます。パソコンが起動しなくても記憶媒体そのものは壊れていない場合があるからです。壊れたパソコンであっても、処分前にはデータを消去しなくてはなりません。
HDDやSSDなどの記憶媒体の初期化や次のような作業では、データを消去することにはなりません。
・データを右クリックメニューから削除する
・データを「ごみ箱」に捨て、ごみ箱を空にする
・リカバリーを実行して工場出荷状態に戻す
・コマンドを使って記憶媒体の中身を消す
・記憶媒体を初期化(フォーマット)する
上のような作業では、データをすべて削除することはできません。これらの作業は、管理情報を変更してOSからファイルを見えなくしているだけだからです。データは一見削除されたように見えますが、データ本体が残っているため、特殊なソフトウェアを使えば容易に復元できます。
初期化作業で初期状態に戻るのは、アプリケーションをインストールしていた部分のみです。データを保存していた領域は残っていることがあり、特殊なソフトウェアを利用すれば復元できてしまいます。
このように、ユーザーが通常行うデータの削除や初期化では、データを完全に消去することはできません。完全確実にデータ消去を行うなら、データ消去を専門に行う業者にアウトソーシングすることをおすすめします。
専門業者の利用がおすすめな理由については、「パソコンのデータ消去を専門業者に依頼するべき理由とは?選ぶ際の注意点も解説」もご確認ください。
データ消去を専門に行う業者では、次のような方法でHDDやSSDなど記憶媒体のデータ消去を行っています。
・ソフトウェアによる上書き消去
・物理破壊
・磁気消去
データ消去ソフトを利用して、記憶媒体に書き込まれたデータを消去する方法です。媒体内を「0」や乱数などの無意味なデータで上書きすることで、それ以前に書き込まれていた内容を完全に読み出し不可能にします。
分解や特殊な道具が不要なので、最も簡単な方法です。ただし、パソコン本体が正常に稼働しなければこの方法は使えません。
データ消去ソフトウェアは、簡易なパッケージソフトも販売されています。データ消去専門業者では、より信頼性が高いソフトウェアを使用しており、より確実なデータ消去が可能です。
記憶媒体を取り出して物理的に破壊し、データの読み出しを不可能にする方法です。この方法では、パソコンを分解して記憶媒体を取り出さなくてはなりません。そのため、ある程度の知識やパソコンを分解する工具、記憶媒体を破壊するための専用機器などが必要になります。
素人がハンマーなどで破壊するのは、事故につながることもあるので大変危険です。
消磁装置と呼ばれる装置でHDDに強い磁気をかけ、保存された磁気データの読み出しを完全に不可能にする方法です。消磁装置に入れるためにパソコンを分解したり、専用の工具を利用したりする必要があります。(ただし、SSDやフラッシュメモリなど磁気でデータを保存しない媒体については、この方法では完全な消去は不可能です)
消磁装置は特殊な装置なので、利用するためには、実績のある業者への依頼が必要です。
企業がパソコンを処分するときには、情報の流出や悪用を防ぐため、必ずデータ消去を行わなければなりません。しかし、データ消去を完全に行うには、通常利用しないようなソフトウェアや装置が必要になります。できるだけ、専門業者に依頼しましょう。
データ消去専門業者には、無料でサービスを行う業者もあります。一見安上がりに見えますが、安心できる業者かどうかはわかりません。
無料のデータ消去サービスを行う業者も、入手した記憶媒体のデータは完全に消去しているとうたっています。しかし、依頼する企業側からは実際に作業を確認することは難しいものです。
万一記憶媒体にデータが残っていたら、そのまま流出してしまう可能性があります。コストはかかっても、実績があり、信用できる業者を選びましょう。
確実にデータ消去を行うためには専門業者へ依頼することがおすすめです。実績があり信用できるデータ消去専門業者にデータ消去を依頼する場合、多少のコストはかかりますが、完全にデータを消去することができます。これは、安心してパソコンや記憶媒体を処分するには必要なコストといえるでしょう。情報漏えいが起きたときのリスクは非常に大きいからです。企業としては、そのリスクを回避するため、データ消去は完全に行わなければなりません。
パシフィックネットは、データ消去については業界トップクラスの実績があり、業界唯一の上場企業です。さらに、次のような特徴があります。
・国内最高レベルのセキュリティ環境でデータ消去を実施
作業場所は全国にある自社のテクニカルセンターです。テクニカルセンターでは、マルチ防犯カメラ、厳格な入退室管理などで高いセキュリティを確保しています。
・オンサイト(お客様の指定する場所)でのデータ消去にも対応
お客様のセキュリティポリシーによりHDDやSSDなどの記憶媒体を社外に持ち出せない場合は、当社がお客様の指定場所に伺い、作業を行います。
・完全なデータ消去が可能
アメリカ国立標準技術研究所(NIST)によるガイドライン(SP800-88 Revision 1)に準拠し、復元が完全に不可能であると認定された方法にてデータ消去作業を実施しています。また記憶媒体の個体管理を行い、すべての作業について作業者と管理者によるダブルチェックの徹底を実現しています。
料金・メニューは、ご希望の内容により変動します。詳細については、お気軽にご相談ください。