パソコンはさまざまなメーカーから販売されていますが、動画編集を行うならそれに応じたスペックが必要です。要求されるスペックを満たしていないと、動作が遅くなるばかりか、そもそも動作さえしないこともありえます。動画編集用のパソコンを選ぶポイントや、レンタルするメリットについてまとめました。
動画編集用パソコンと一般的な事務用パソコンとの違いは、簡単にいうと高い能力(スペック)が要求されることにあります。
動画データは、静止画データを何枚も貼り合わせたようなもので、テキストや画像などのデータに比べ格段に大きなデータ容量になります。最近は撮影機材も高画素化する傾向にあり、4Kや8Kといった高解像度の映像が撮影できる機材も増えてきました。こうした高画質のデータは見栄えがよいですが、当然ながらそれだけ容量も大きくなります。
あくまで目安ですが、一般的な動画のファイルサイズは1秒あたり約0.25MBといわれます。10分程度の動画であれば、ファイルサイズはおよそ150MBほどです。しかし、10分の動画を制作するためには、その何倍もの時間分の撮影データを用意し編集する必要があるため、パソコンに取り込むデータ容量もそれだけ大きくなります。動画ファイルは、一般的なオフィス業務で扱うワードやエクセルなどのファイルと比べると容量が格段に大きいため、編集作業をするパソコンにも高いスペックが要求されるのです。
動画編集を行うためのパソコンには、どの程度のスペックが要求されるのでしょうか。必要スペックは動画の画質(フルHD、4K、8Kなど)や尺の長さ、どういったエフェクトをかけるかによっても変わります。ここでは、動画編集用パソコンの平均的なスペックと、選ぶ際にチェックするべきポイントを説明します。
動画編集用のパソコンを選ぶにあたり、まずチェックするところはCPUです。人間に例えると「頭脳」にあたる部品で、CPUのスペックが低いと編集ソフトが動作しないこともあります。
CPUにはさまざまな種類がありますが、動画編集に使用するならインテル(Intel)製のCoreもしくはAMD製のRyzenのいずれかがよいでしょう。具体的には以下のスペックが最低条件となります。
・フルHD動画、インターネット用動画の編集向け:Intel Core i5、もしくはAMD Ryzen 5以上
・4K以上の高画質動画編集向け:Intel Core i7、もしくはAMD Ryzen 7以上
かつては、動画編集用パソコンであればIntel Core i7、もしくはAMD Ryzen 7が最低条件といわれていました。しかし、最近はCPU性能が向上しており、複雑な編集をしないのであればミドルレンジのIntel Core i5、もしくはAMD Ryzen 5も十分選択肢に入ってきます。ただし、上記はあくまで最低限のスペックであり、作業効率を優先するのであれば、より高いスペックのCPUをおすすめします。
CPUで行う演算処理を一時的に保存するメモリも重要なチェックポイントです。作業をするうえでの「机の広さ」に例えられる部品で、こちらも十分なスペックを満たしていないと処理速度に影響します。ただし、メモリは数値が大きければ大きいほど動作が高速になるわけではありません。コストを考慮しながら、作業に合わせて必要なだけのメモリを積むことが重要です。
動画編集用のパソコンには最低でも16GBのメモリが必要といわれています。4K動画の編集や複雑なエフェクトをかける作業、カラーグレーディングなどをする場合は、さらにメモリが必要です。編集ソフトによっては8GBのメモリでも起動することもありますが、他のソフトを同時に開く余裕がなかったり、複雑な編集を行うには力不足となったりするケースがほとんどです。
・フルHD動画、インターネット用動画の編集向け:16GB以上
・4K以上の高画質動画編集向け:32GB以上
動画編集用のパソコンであれば、グラフィックボードのスペックもしっかりと確認しておきましょう。一般的な事務用パソコンでは意識することのない部品のため、なじみがないかもしれません。グラフィックボードは、動画編集時のエンコードや書き出し時間を高速化したり、プレビューを軽快に表示したりするためには欠かせない部品です。
GPU(グラフィックボードに搭載されている画像関連の演算処理を行うチップ)がCPUに内蔵されている製品もありますが、あまりスペックが高いとはいえないのが正直なところでしょう。動画編集用であれば、グラフィックボードが搭載されているパソコンを選ぶことをおすすめします。
・フルHD動画、インターネット用動画の編集向け:NVIDIA GeForce GTX 1660以上
・4K以上の高画質動画編集向け:NVIDIA GeForce RTX 3060以上
パソコンのスペックについては以下の記事でも詳しく紹介しています。合わせてご参照ください。
パソコンのスペックとは?パソコンを選ぶときに確認すべきポイントを紹介
動画の編集作業は、一般的なオフィスソフトの操作とは異なる部分が多々あります。そのため、作業効率を考えて、周辺機器も動画編集に合わせたものを揃えることをおすすめします。
動画編集作業を行ううえで必須ともいえるのが外部ストレージです。先に紹介したように、動画データはテキストや画像のデータと比べてはるかに容量が大きく、パソコン内のストレージに保存しているとすぐに容量不足になってしまいます。そのため、動画編集用のパソコンとは別途、外部ストレージを用意して、動画や音声データは他のデータと分けて保存するのが基本です。
動画データの容量を考えると、読み書き速度に優れたSSDがおすすめですが、大容量のものはコストがかさむのが難点です。コストを重視するのであれば、HDDとSSDが併用できる機種を選び、編集中のデータのみをSSDに保存するとよいでしょう。
動画編集を行ううえでは、ディスプレイが大型の機種を選ぶと便利です。動画の編集画面はプレビューやタイムライン、編集パネルなど表示する要素が多く、画面が小さいと作業しにくくなってしまいます。そのため、画面いっぱいに広がる編集パネルを一覧できる、23〜27インチ程度のディスプレイを選ぶとよいでしょう。
また、4Kのような高解像度の動画を編集する場合は、細部を確認できるように、4K対応のディスプレイを選ぶことをおすすめします。ただし、高解像度、大型のディスプレイはコストがかかります。導入費用を抑えたい場合は20インチ程度のディスプレイを2台用意し、1台はプレビュー画面を、もう1台は編集用パネルやタイムラインを表示させるといった使い方も可能です。/p>
作業効率を考えて、マウスも高機能なものを用意しましょう。動画編集中はタイムラインを頻繁に操作するため、縦だけでなく横スクロール用のホイールが搭載されたマウスがあると作業がはかどります。また、ショートカットを多用するため、カスタマイズ可能なボタンが多いものを選ぶとよいでしょう。
動画編集に使われるパソコンは要求されるスペックが高いため、それに比例して導入コストもかさむことになります。撮影機材の高画素化の影響もあり、パソコンの要求スペックは今後もさらに高くなると考えられます。
作業効率を優先して常に最新スペックのパソコンを用意したい場合や、プロジェクトに合わせて一時的に動画編集作業が発生する場合もあるでしょう。そのようなときは、購入ではなくレンタルするという選択肢もあります。レンタルなら、故障や不具合が起きた場合もサポートが受けられるため、業務を停止することなく円滑に作業を続けやすくなります。
パソコンのスペックを上げると、それだけコストもかかります。そのため、調達の際は無制限にスペックを上げるのではなく、カラーグレーディングのような複雑なエフェクトをかける、高画質の動画を扱うなどの編集内容に合わせて、必要なスペックのパソコンを用意することが重要です。
パシフィックネットでは、法人用のレンタルパソコンサービスを行っています。お客様のご要望に合わせて動画編集用スペックのパソコンのレンタルも承っております(ご希望スペックのパソコンを調達後にレンタルとなります)。ぜひお気軽にご相談ください。