常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなるとさらに難しくなります。ジョーシスでは数々のIT用語を三段階で説明します。
取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?
複数の異なるOS(基本ソフト)を並列に実行できるようにするためのソフトウエアを指す。Windows OSなどの上で、仮想的にハードウェアのように振る舞うことで、ハイパーバイザー上に、ほかのOSを構築することができる。またOSの上ではなく、ハードウェア上で直接動作し、その上に複数のOSを構築することができるタイプもある。
Windowsで作業したファイルとMacで作業したファイルを扱う時に常に付きまとうのは「互換性」問題です。
例えば、すべてのビジネスパーソンが使うといっても過言ではない表計算ソフトの「Excel(エクセル)」でも、Windows版とMac版では互換性の問題があります。例えば、多くの人が使っているExcelの「関数」機能では、Windows版の「Excel 2013」は、459種類の関数をサポートしているのに対し、Mac版の「Excel for Mac 2011」は、407個しかサポートしていません。
もし、あなたがMacユーザーで、Windowsを使うお客様からMac版が対応していない関数を使ったExcelが送られてきたら、あなたのMac上では正しくファイルがを開くことができないため、お客様とトラブルになるかもしれません。
ただ、これを防ぐために、MacとWindowsと2つのコンピューターを持つのは、コスト面でもスペース面でもあまり賢い選択とはいえないでしょう。もしMac上でWindows OSも動かすことができれば、両方のバージョンのExcelを1台のPCで使うことができるので、このような事態から解放されますよね。これを実現するのが、「ハイパーバイザー」というプログラムです。
ハイパーバイザーは、あたかもコンピューターのハードウエアであるかのように振る舞います。例えば、Mac OS上にハイパーバイザーをインストールして、ハイパーバイザーの上にWindowsをインストールしたとします。すると、外から見ればMac OS、ハイパーバイザー、Windowsとサンドウィッチ上になっていますが、Windowsから見るとハイパーバイザーはハードウエアのように見えます。
そのため、Windowsはその下にMac OSがあることを意識せずに動作することができるのです。もちろん、Windows上にWindows版のExcelをインストールして、両方のバージョンのExcelを1台のPC上で動かすこともできます。
実際の運用場面では、Mac OS上にWindowsをインストールするだけでなく、サーバー用OSであるWindows Server上にハイパーバイザーを展開して複数のWindowsを運用する、といったことも行われます。これにより、「VDI(Virtual Desktop Infrastructure:デスクトップ仮想化)」のような仕組みを実現することができるのです。
きみは、テレビゲームは好きですか?
今はいろいろな会社からたくさんのゲーム機が発売されているので、どれを買おうか迷ってしまうかもしれませんね。ただ、いろいろな種類のゲームをしようと思ったら、たくさんのゲーム機もそろえなければなりません。そのためには複数のゲーム機を買うために、たくさんのお金が必要ですし、ゲーム機がたくさんあると、お部屋の場所も取ってしまうので、片付けも大変になります。
でも、もし1つのゲーム機本体でいろいろなゲーム機のソフトが遊べるようになったらどうでしょう?
少ないお金と少ないスペースでより多くのゲームが遊べるようになります。そうなると、きみにとってもきみのお母さんにとってもうれしいことですよね。
では、それを実現するためには、何が必要になるでしょうか?
ゲームソフトのプログラムは、きみも知っている通り、対応するゲーム機でしか動かないように作られています。これはどのような仕組みになっているのでしょうか?
ゲーム機本体には、ゲーム機そのものを動かすプログラムが入っています。この本体プログラムが、ゲームソフトのプログラムを読み込んで実行することで、ゲームが遊べるようになっています。
本体プログラムはゲーム機本体によって違う仕組みで動いており、ゲームソフトAはゲーム機Aの本体プログラムでのみ動くように作られています。だから、仕組みが異なるゲーム機Bの本体プログラムではゲームソフトAは動かせません。そのため、ゲームソフトAはゲーム機B上では遊ぶことができないのです。
では、ゲーム機本体Bに、Bの本体プログラムとAの本体プログラムの2つを動かせる状態にしたらどうでしょうか?
ゲームソフトAはゲーム機Aの本体プログラムによって動くように設計されていましたね。そのため、たとえ外見がゲーム機Bだとしても、本体プログラムAが入っていればゲームソフトAのプログラムを動かすことができます。また、ゲームソフトBも、本体プログラムBが入っているので問題なく遊ぶことができます。こうすれば高いゲーム機本体を何台も買う必要はなくなり、家の中もスッキリしますね。
このような、1つの機械に複数の本体プログラム(正式には「基本ソフト」といいます)を動かせるようにするための仕組みは「ハイパーバイザー」と呼ばれています。ハイパーバイザーを使うと、「本体を何種類も買うお金が節約できる」「スペースが節約できる」などたくさんのよいことがあるのです。
この記事は株式会社パシフィックネットが運営していたWebメディア「ジョーシス」に 掲載されていた記事を転載したものです。
2016年4月25日掲載