常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなるとさらに難しくなります。ジョーシスでは数々のIT用語を三段階で説明します。
取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?
ソフトウエアを購入する時、購入者とソフトウエアメーカーは「使用許諾契約」を締結する。しかし、店頭で販売されるようなパッケージソフトでは、実際に対面で契約を交わすような機会はない。そこで、利用されているのが「シュリンクラップ使用許諾契約」。ユーザーが購入したソフトウエアのパッケージを開封することで「使用許諾契約」に同意したとみなす方式のことをいう。
また、オンラインでソフトウエアを購入した場合、「同意する」をクリックしたことで、契約に同意したとみなす方式を「クリックラップ契約」と呼ぶ。これらの契約方式は従来の書面と署名などで行なわれる契約方式に比べて手間が少ないが、法的な有効性については疑問の声もある。
社長は、パソコンのソフトウエアを買った時、外箱やソフトウエアのCD-ROMを入れた袋に「この封を開いたことによって契約に同意したと見なします」といった文章が書いてあるのを見たことはないですか?
これを「シュリンクラップ使用許諾契約」といいます。みなさん、何も確認せずに破って開けている場合がありますが、実は、その動作は「使用許諾契約」に同意したということになるのです。
また、インターネットでソフトウエアを購入したりする時もありますよね。その場合は購入手続の途中に「同意する」をクリックしないと、そのソフトウエアが使えないようになっていることが多いはずです。これは「クリックラップ契約」といいます。
そもそも「契約」とは、契約書を作成し、お互いがよく中身を確認して問題ないと確認したら、署名して契約を交わすことです。ところが大量に販売されるソフトウエアは、いちいち店頭でそのような手続きをすると手間がかかります。ネットで購入する場合はなおさらです。そこで、このような契約方式がソフトウエアの利用においては一般的になったのです。もちろん契約なので守らなくてはいけません。
よくある契約違反はソフトウエアの無断複製です。例えば「一台のパソコンに1つのソフトウエアのライセンス(使用許可)」とされているソフトウエアを、無断で複製して複数のパソコンで利用するのは、契約違反となり大変なことになります。実際に、契約違反で訴えられた会社もあるので気を付けてください。
あるゲーム店のお話です。
このお店の店長は自分で面白いゲームソフトを作っていました。
あなたはそれを使いたくて買いに行きます。店長は100円でゲームを売ってくれるというので100円を持っていきました。
すると、「売ってあげるけど、ほかの人に貸して遊ばせてはダメだよ。使うのはきみ一人です。もし勝手に他の人に使わせたら、お店との約束をやぶったことになるので、ゲームソフトを返してもらいます。あと罰金をもらいます。それでもいいですか?」と店長に言われました。あなたは「その約束を守る」と言いました。
約束したしるしとして、店長とあなたは紙に「ほかの友達に使わせないこと」「もし使わせたら店長に返すこと」「罰金を店長に払うこと」と書いて、名前も書いておきました。
このことを「契約」といいます。お互いが守ることを納得した上で決めておくことです。そして「もし、守らなかったらこうする」という罰も決めます。
さて、それからこのゲームは評判になりました。もちろん、あなたは約束を守って、ほかの人には使わせません。するとこのお店には買いたい人がたくさん来るようになってしまいました。
たくさんの買いたい人が来ると、店長はお客さん一人一人とこんなやり取りをして約束を決める時間がなくなるため悩みます。
でも、約束は守って欲しい。そこで店長はゲームの袋に、「ほかの友達に使わせたらゲームを返してもらい、罰金をもらう」「この袋を開けたら、あなたはそれでよいと自動的に約束したことになります」と、書いておくようにしました。これで、店長はいちいち説明しなくても、どんどん販売することができるようになったのです。
この「袋を開けたら契約したことになります」ということを「シュリンクラップ契約」といいます。
「シュリンクラップ契約」によって、店長の手間は少なくなりましたが、問題も出てきました。ほかの人にこっそり使わせる人が出てきてしまったのです。
あなたがちゃんと店長と約束してお互いに紙に書いた時には、あなたは「約束を守ろう!」と思いましたよね。それは正しいことです。
しかし、袋に書いてあることをあまり読まずに使い始めてしまう人も多くいて、約束したことを忘れて、約束を軽く考えてしまうのです。でも、約束は約束です。約束を守らない人は厳しい罰が待ってます。気を付けましょう!
この記事は株式会社パシフィックネットが運営していたWebメディア「ジョーシス」に 掲載されていた記事を転載したものです。
2016年3月3日掲載