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情シスリーダーのための時間管理術8
3つの「ムダな残業」を減らそう!

「なりゆき残業」にならないために

前回(情シスリーダーのための時間管理術7 「残業ゼロ」にするために必要なこと)は、残業を減らすための原則を紹介しましたが、今回は逆に、残業を増やしてしまう典型的な悪い例を3つ紹介しましょう。

1つめを、私は「なりゆき残業」と呼んでいます。

仕事の進め方が計画的でなく、「なりゆき任せ」になってしまっている状況です。例えば、期限ギリギリになってからバタバタと慌てる、「遅くまで残業しないと間に合わない」という状況に追い込まれがちな人は要注意です。

この「なりゆき残業」は、タスク管理が充分にできていないために起こります。前回で紹介したように、残業を減らすためには先を見越して行動することが必要です。

特に、自分の仕事量は常にモニターしておくことが重要です。仕事量を把握しているからこそ、うかつにタスクを引き受けすぎないように気をつけるようになりますし、「中止する」「人に任せる」といった判断もしやすくなります。

そのためには、ちゃんとタスク管理をした方がいいのですが、実際にはできていない人が多いのです。「何とかなるだろう」と無理にタスクを引き受けてしまったり、「今は忙しいから後で考えよう」「今日は考えたくない(現実逃避?)」と、タスク管理を放棄してしまったり……。本来なら、忙しい人ほどタスク管理が必要なのですが、現実には忙しい人ほどタスク管理がうまくいってないことが多いのです。

これはタスク管理の手法にも問題があります。例えば、あるタスク管理の手法では「毎朝タスクをリストアップして」「そのタスクにA、B、Cで優先順位のランク付けをして」「さらにA1、A2、A3…と順位づけをする」といった手順を踏むことが推奨されていますが、これを忙しい中で続けるのは容易ではありません。

タスクを思い出したり、あらためて順序をつけたりしていると、時間も手間もかかります。私も昔やっていたことがありましたが、その作業自体が負担になってしまい、結局続きしませんでした。

別のタスク管理の手法では、タスクを見直し、追加して、それを実行スケジュールに落とし込むためのレビューを週1回程度行うことが推奨されています。しかし、このレビューは時間がかかりますし、集中力も必要です。それが負担で続けられないという声をよく聞きます。

それよりも、これまでに紹介しているように、タスクは最初から「実行日」に書く。この方法がおすすめです。

その都度書きとめるのに少し手間はかかりますが、これだけでおおよその仕事量を常にモニターすることができますし、各タスクを行うべきタイミングもはっきりします。あらためて整理したり、順序を考えたりしなくてもいいので、忙しい人には特におすすめの方法です。

「つきあい残業」の連鎖を断ち切る

2つめの悪い例は「つきあい残業」です。

この言葉は割と一般的ですから、イメージしやすいと思います。例えば、職場に「残業するのが当り前」という空気があって、自分だけ先に帰るのは気がひける、だから残業してしまう。そんな状況です。

この「つきあい残業」は昔と比べてかなり減っています。しかし、研修の受講者から生の声を聞くと、いまでも残っている職場があるようです。

「つきあい残業」は、職場環境の問題です。

早く帰るとイヤな顔をする上司や、仕事の内容よりも「残業してがんばった」ことをほめる上司、早く帰る人に余計なイヤミを言ってしまう同僚など、職場の環境や雰囲気のせいで「つきあい残業」が増えてしまいます。もちろん、自分自身がその環境に荷担してしまうこともありますから、リーダーは特に気を付けるべきです。

また、リーダーの中には「部下が残業しているから、自分が先に帰るわけにはいかない」と考える人が多いですが、実はこれ、迷惑かもしれません。

もし、部下が「上司よりも先に帰りにくい」と思っていたらどうでしょう。お互いにけん制しあって残業が長くなる悪循環になります。

笑い話のようですが、本当にそんな事例がありました。こういう悪循環を断つためには「帰れる時には遠慮せず帰る」と割り切ることも必要です。部下の立場でもそうですし、上司の立場でもそうです。

例えば、あなたは最近、定時で帰った日がありましたか? 上司が先に帰る姿を見せることには、部下に「自分も帰っていいんだ」と思わせる効果があります。たまにでも構いませんから、定時で帰る日を作ってみてはいかがですか?

「残業から本気」をやめよう

3つめの悪い例を私は「残業から本気」と呼んでいます。

「残業から本気」といっても、定時までは手を抜いているというわけではありません。日中は電話がかかってきたり、人がやってきたりで、自分の仕事を中断させられることが多く、仕事に集中できない…。

だから、残業時間に入ってから、じっくり考えながら仕事をするという習慣です。「残業からが自分の仕事」という感じですね。

私も経験がありますが、集中して考えている時に中断させられるのは嫌なものです。イライラしたり、ストレスを感じたりもします。そんな思いをするくらいなら、「残業して落ち着いてやったほうがいい」となるわけです。

その気持ちは理解できるのですが、これが続くと残業は確実に長くなります。少しずつでも定時内に仕事を進めていくようにしないと、長時間残業が慢性化してしまいます。ちなみにリーダーにもこういう人は多いのですが、あなたは大丈夫でしょうか?

「残業から本気」をなくすためには、集中できる時間を少しでも増やすことが必要です。例えば、比較的中断されにくい時間帯をうまく利用することで、状況を少し改善できます。

私の場合、始業直後は意外にジャマが入らないことに気づき、その時間に集中したい仕事を行うようにしました。ほんの20分程度ですが、これだけでも残業を減らす効果はあります。また、集中して考えたい時には、一定時間メールやチャットを遮断するのも、中断を減らす効果があります。

全体として取り組んでいる職場もあります。例えば、お互いに話しかけない(電話もしない)という時間帯を決め、その間は各自が自分の仕事に集中するという制度を作っている職場があります。

あるいは、ジャマされず集中したい時に使えるように1人用のブースを設置している職場もあります。また、会議の削減、短縮の取り組みも、定時内の「使える時間」を増やすという意味で効果があります。


こちらは上記3つの悪い習慣、ムダな残業をまとめた簡単なチェックリストです。研修で使うこともあるのですが、受講者によって「あるある」と感じるポイントが違っていて、職場の状況を把握するのに役立っています。あなたや、あなたの職場の方たちは、どれが当てはまりますか?



水口 和彦(みずぐち・かずひこ)

大阪大学大学院修士課程修了。住友電気工業株式会社でエンジニアとして勤務するなかで時間管理を研究し、残業を大幅に削減。その経験を活かし2006 年に独立。数少ない「時間管理(タイムマネジメント)専門講師」として、数多くの企業や自治体、教育機関などで研修や指導を行い、早稲田大学エクステンションセンターの講師も務める。『部下を持つ人の時間術』(実務教育出版)など時間管理に関する著書多数。「まぐまぐ」よりメールマガジンを毎週配信中。


所属:有限会社ビズアーク/時間管理術研究所


この記事は株式会社パシフィックネットが運営していたWebメディア「ジョーシス」に 掲載されていた記事を転載したものです。
2016年5月11日掲載

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