情シスリーダーのための時間管理術3
これが時間管理のカギ。タスクの「リアリティ」を高める2つの要素とは?!

時間管理術イメージ

時間管理がうまくいくか、いかないかは「タスク」の管理方法で決まると言っても過言ではありません。今回はタスク管理を行う上で、最も大きな違いを生むポイントをくわしく解説していきます。



時間管理のカギとなる「タスク」

この連載で述べてきたように、私たちの仕事は3つのタイプ(アポイントメント、予定外の仕事、タスク)に分けられます。


アポイントメントは時刻が指定されている仕事。いわゆる「スケジュール管理」として管理しているものです。時刻や場所が指定されている分、負担が大きく自由がきかない仕事ですが、管理そのものは難しくありません。むやみにアポイントメントを増やさないよう気をつけているなら、それ以上効率を高めようにも限界があります。


予定外の仕事は、そもそも自分ではコントロールできないもの。うまくさばく決断力や、不測の事態を起こさないための気配りなどは必要ですが、できることには、やはり限りがあります。


一方、最も自由さのある仕事がタスクです。期限は決まっていても、実行する時刻は自由。自分の裁量で進めていける仕事です。しかし、自由なだけに、期限ギリギリにあわてるなどの失敗も多いですし、やり方しだいで大きく効率が変わってしまいます。


タスクは、3つの仕事のなかで最も管理が難しい仕事であり、それだけ改善の余地があるともいえます。時間管理がうまくいくかどうか、仕事が効率化するかどうかのカギとなるのが、このタスクです。


前回はタスクの「リアリティ」を高めるために「タスクを実行日に書く」ことをおすすめしました。ただタスクをリスト化するのではなく、タスクを実行する日を決めて(実行できそうな日を見つけて)そこに書いていくという方法です。そうすることで、タスクの「リアリティ」が得られます。今回はこの「リアリティ」について、もう少しくわしく紹介していきましょう。


タスクの「リアリティ」というのは、タスクを実際に「やれる」「間に合う」「時間が足りる」という感覚や自信です。実は、このタスクの「リアリティ」は2つの要素から成り立っています。

タスクの「リアリティ」の2つの要素

1つはタイミングの要素です。「このタスクをこのタイミングでやっておけば、(余裕を持って)期限に間に合う」と感じられるということです。


これは、期限までに残された時間と、タスクをやるのに必要な時間を比較すれば簡単に分かりそうなものですが、実際はそうではありません。他にどんなタスクがあるか(他の仕事にどれくらい時間を取られるか)を把握しないと、本当のところは分からないのです。


それをはっきりさせるのが、もうひとつの要素である、ボリューム(量)の要素です。それぞれの日にどれだけの仕事があるか、それらをその日に終わらせられそうか、という判断です。


あるタスクを「やれる」「間に合う」「時間が足りる」と確信するためには、タイミングとボリュームの両面から確認する必要があります。タスクを「実行する日」に書くのもそのためです。


実は、私が昔タスク管理を始めた頃、当初はどうにもうまくいかず、かなり試行錯誤をしていました。


ところが、ある日思いついて「実行日に書く」ことを始めてから、急にタスクの「リアリティ」が高まりました。自信も持てるし、全体を俯瞰して効率的な計画を立てられるようになったのです。タスク管理を行う上で、最も大きな違いを生むポイントだと言っていいと思います。

時間管理の予定表イメージ

今思えば、そもそも「時間」という言葉そのものにも、タイミングとボリュームの両方の意味があります。たとえば「約束の時間に間に合う」というときの「時間」はタイミングを表しています(この「時間」は「時刻」に置き換えられます)。


一方、「時間が足りない」というときの「時間」は、ボリューム(量)を表しています(この「時間」は「時刻」に置き換えられません)。タイミングとボリューム、両方の視点で見ないと「リアリティ」が高まらないのは当然のことだったんですね。

タスクは1か所にまとめる

ただし、タスクの「リアリティ」を高めるために必要な条件があります。1つは前回も紹介した「実行日に書く」ことですが、もうひとつは「タスクを1カ所にまとめる」ことです。


時間が足りるかどうかを判断するためには、アポイントメントを含めた自分の仕事を、1カ所で管理する必要があります。もちろん、仕事では同時期にさまざまな案件を並行して進めるのが当り前ですが、だからといってタスクをバラバラのメモやリストに書いていると、全体としての仕事量は分かりません。


これでは、本当に実行できるという自信は生まれてこないのです。


そもそも、私たちの体は1つしかありませんから、タスクを1カ所にまとめた方がいいのは当り前の話。でも、実際にはこれができていない人が多いのです。あなたは、どうですか?

「未整理のタスク」に囲まれて

これを自分のデスクでお読みの方は、まわりを見渡してみてください。私たちのまわりには「未整理のタスク」がたくさんあります。


●メールソフトの中にある「返信なきゃと思いつつ、まだ返信していないメール」

●デスクの上にある「進行中の仕事の書類」や「やることを書いたメモ」

●パソコンのデスクトップ画面に置いてある「やりかけの仕事のファイル」や「付箋」


こういった場所にタスクの情報を置いている人は多いです。「未整理のタスク」に囲まれて仕事をしているのです。


前回は「ふせんだらけのディスプレイで仕事をしていると、目の前にいろんなタスクを突きつけられているようで落ち着かない」という話をしましたが、「未整理のタスク」たちも、同様に私たちの気をそらし、集中力をうばってしまいます。落ち着きを取り戻し、ひとつひとつのタスクに集中するためにも、タスクを1カ所にまとめること、実行日を決めておくことはとても有効です。


「実行日を決める」というと、「『やらなきゃ』というプレッシャーを感じるのでいやだ……」という人もいますが、実感としてはむしろ逆です。


それぞれのタスクの実行日を決めると、「今日やるタスク」が明確になると同時に「今日やらなくていいタスク」も明確になります。「明日のタスクは明日やればいい」「まずは今日のタスクをやろう」と思えると、かえって落ち着くものです。


例外として「今日中に終わる、ちょっとした用事」のようなものは、メモ用紙などに書いても構いませんが、「明日以降にやる仕事」や「ある程度時間がかかる仕事」はすべて1か所に、それぞれ実行日のところに書いてみてください。1か所にまとめる先はパソコンでも、手帳でも構いません。これだけのことで、以前よりも落ち着いた気分で仕事ができるようになりますよ。


水口 和彦(みずぐち・かずひこ)

大阪大学大学院修士課程修了。住友電気工業株式会社でエンジニアとして勤務するなかで時間管理を研究し、残業を大幅に削減。その経験を活かし2006 年に独立。数少ない「時間管理(タイムマネジメント)専門講師」として、数多くの企業や自治体、教育機関などで研修や指導を行い、早稲田大学エクステンションセンターの講師も務める。『部下を持つ人の時間術』(実務教育出版)など時間管理に関する著書多数。「まぐまぐ」よりメールマガジンを毎週配信中。


所属:有限会社ビズアーク/時間管理術研究所

この記事は株式会社パシフィックネットが運営していたWebメディア「ジョーシス」に 掲載されていた記事を転載したものです。
2015年12月16日掲載