リーダーのための「時間管理」解決クリニック4
「メールに振り回されて困っています 」

ここは時間に追われ、忙しいリーダーのために開設されたクリニック。

このクリニックには時間管理にお悩みのリーダーが処方箋を求めて来院します。

おやおや、今日もお悩み抱えたリーダーがやってきたようですよ……。

【今回のお悩み】

横澤さん(仮名)係長職(30歳)

今の役職になってからメールが多くなって困っています。


1日に届くメールの数は以前の数倍、100件を越えるようになりました。これだけ多いとメールの内容を確認したり、返信したりするだけでもかなり時間を取られてしまいますし、自分の仕事が思うように進まなくて焦ることもあります。


メールの内容によって優先度を考えて処理するようにしているのですが、たまに返信し忘れていて後で慌てることもあります。以前はそんなこと、絶対なかったのですが……。こんな状況で今後もやっていけるのか、少し自信がなくなってきました。


※このお悩みは実際のご相談の内容を元にしたフィクションです。


このような「メールが多すぎて困る」というお悩みは最近よく聞くようになりました。


横澤さんのように1日のメールが100件を越える場合、平均で5分に1通以上のメールを受け取っていることになります。そう考えてみると大変ですよね。自分の仕事が進まないと感じるのも分かります。いわば「メールに振り回されている」といった状況です。


でも、メールが業務の遂行に必要不可欠なものとはいえ、メールに振り回されて自分のタスクがおろそかになるようでは本末転倒です。


目先のメールの処理にあわてるのではなく、もう少し長い目で見て効率のいいやり方で扱うように考えてみましょう。メールもタスクの一種ですから、時間管理の手法を応用することができます。


では、対策を解説していきましょう。

【メールが多くて困っている人の対策】

受信通知を表示させない

このような「メールに振り回されている」という状況を生む、主な3つの原因について、順を追って対策を考えてみましょう。


まず問題なのが「メールで自分の仕事を中断されてしまう」ということです。


例えば、何かの作業をしたり、何かを考えたりしている時、パソコンの画面に「新着メッセージを受信しました」という表示が出たら、あなたはどうしますか? 私がこれまでに聞いたほとんどの人は、「すぐにメールを確認する」と答えました。やっぱり気になりますからね。しかし、この行動は、作業や思考の効率を確実に悪くします。


ちょっとメールを確認する。これだけのことでも、私たちの集中は途切れ、頭の中で考えていたことの一部は失われます。メールを見るだけで、返信せずに作業に復帰したとしても、すぐには元の状態に戻れませんから、確実に時間をロスしてしまうのです。


横澤さんが「自分の仕事がなかなか進まない」と訴えているのは、単にメールに時間を取られているだけでなく、集中を途切れさせてしまっていることも影響しているはずです。ただでさえ少ない「自分の仕事」のための時間です。できるだけ集中して取り組めるようにしていきましょう。


そのためには、メールの受信通知を表示させないようにするのがおすすめです。


集中する時はメールに邪魔をさせないようにする。その代わりに、作業や思考が一段落したところで、つまり自分のタイミングでメールをまとめて確認するようにする。これだけのことで仕事の効率は確実に上がりますし、イライラしたり、焦ったりすることも減ります。


こういうと、「メールを見ないで大丈夫ですか?」と心配する人もいます。


でも、会議や打ち合わせをしている時には1時間や2時間はメールを見ないことがありますよね? それと同じです。1時間くらい、メールを無視させてもらっても構わないじゃないですか。自分の仕事に集中させてもらいましょう。その代わり、メールを確認するときはメールだけに集中して、先延ばしせずに返信してしまいましょう。

返信し忘れを防ぐためのルール

2つめの問題は、メールの処理方法にあります。


横澤さんの話にあった「返信し忘れ」という現象は、実は根深い問題があります。返信し忘れ自体も問題ですが、返信し忘れがないかと不安になってしまうのはストレスの原因にもなりますし、受信トレイの中を何度も確認するのも効率がよいやり方とはいえません。


この問題を引き起こしているのは「返信しなければいけないメール」の扱い方です。こういったメールは一種のタスクなので、受信トレイそのものが、一種のタスクリストになっているわけです。しかも、返信不要なメールと混在していますから、タスクリストとしては見やすいとはいえません。


これを上手く運用するための方法の1つとして、受信トレイの中をマメに整理する方法があります。


「処理が終わったメールは別のフォルダーに移し、受信トレイの中は未処理のメールだけにしておく。帰宅前には受信トレイを空にする」といったルールで運用するわけです。こうしておけば未処理のメールがすぐに分かります。ただ、この方法は少し手間がかかるので私はあまりおすすめしていません。


「未処理のメールにはフラグを立てておく」というルールで運用する方法もあります。この方が少し楽に運用できますが、メールの数が多いと見落としが出やすくなるので、少し不安はあります。


意外に手間かからない方法としておすすめなのは、「読んだ時点で返信する。返信できないものは必ず書きとめる」というルールで運用する方法です。


そもそも、返信し忘れは、返信を後回しにすることから始まります。この返信を後回しにすること自体、もともと効率がよくありません。「今返信するか、後回しにするか」と迷う時間がもったいないですし、後で返信するときにそのメールを探したり、読み直したりする時間もかかります。こういう時間も積み重なると大きいです。


いずれ返信しなければいけないのなら、読み終えた時点で返信してしまう。メールの緊急性や重要性は問いません。返信がマストであるなら、すぐに返信するのが最も効率がいい方法です。


どうしてもすぐに返信できないメールは、それなりの作業や確認などが必要なはずですから、タスクとして書きとめておきます。返信するか、書きとめるかの二択で、必ず行動するわけです。


最初に少し決意が必要ですが、このルールでの運用に慣れると、受信トレイの中を探したり、検索したりすることがなくなって効率がよく、かなり安心感があります。


慣れてしまえばとても快適に仕事ができる、おすすめの方法です。

Ccメールを上手くさばく

3つめの問題として「Ccメール」があります。メールの送り先として「To」ではなく、「Cc」に自分のアドレスが入っているメールです。


リーダー的なポジションにつくと、このCcメールが極端に増える場合があって、処理に困っているという話をよく聞きます。「Ccメールが多すぎる。でもCcメールを通じて部下の仕事の様子を把握しているので、なくすわけにもいかない……」。そんなお悩みです。


これを解消するにはCcメールの扱いや使用目的を見直してみる必要があります。そもそも、Ccメールは何のために送ることにしているのでしょうか?


例えば、「部下の仕事を確認して、何か気づいたら指導するために」「担当者が不在のときも過去のやり取りを確認できるように」「とにかく全体で状況を共有するために」など、目的はいろいろあると思います。


ただ、これらの目的で届くメールは、その場その場で確認しなければいけないものでしょうか? 部下のメールのやり取りをいちいちリアルタイムで確認する必要はあるのでしょうか??


それを踏まえて、私が提案しているのは「Ccメールはいちいち確認しない。1日に1回か2回まとめて確認する」という方法です。もともとの目的次第では、確認の頻度をもっと減らしてもかまいません。


やり方を紹介しましょう。


まず、返信が必要な場合は「Cc」ではなく「To」で送るように、部下に徹底させます。そして、メールを自動で振り分けるようにメールソフトなどを設定しておきます。Ccメールは受信トレイではなく、別のフォルダーに自動で移動させるわけです。


そして、そのフォルダーに入ったCcメールはまとめて目を通すようにします。この時は古いメールから時系列にそって読むよりも、逆に新しいものから確認する方が効率はよくなります。結論から話を聞いていくような感じです。


このようにCcメールを切り分けてしまえば、時間的、精神的な負担は軽減されます。Ccメールが多いようなら試してみてください。


最後に「メールが多すぎて時間が足りない人」への処方箋を出して今回の診察は終了です。

【メールに振り回されて困っている人への処方箋】

■メールの受信通知を表示させないようにして、自分のタイミングでメールを確認しよう
■返信が必要なメールは読み終えた時点で返信する。すぐに返信できないなら書きとめる。この二択で行動しよう
■Ccメールは自動で別フォルダーに振り分けて、まとめて確認しよう。1日に1回か2回で構わない


水口 和彦(みずぐち・かずひこ)

大阪大学大学院修士課程修了。住友電気工業株式会社でエンジニアとして勤務するなかで時間管理を研究し、残業を大幅に削減。その経験を活かし2006 年に独立。数少ない「時間管理(タイムマネジメント)専門講師」として、数多くの企業や自治体、教育機関などで研修や指導を行い、早稲田大学エクステンションセンターの講師も務める。『部下を持つ人の時間術』(実務教育出版)など時間管理に関する著書多数。「まぐまぐ」よりメールマガジンを毎週配信中。


所属:有限会社ビズアーク/時間管理術研究所

この記事は株式会社パシフィックネットが運営していたWebメディア「ジョーシス」に 掲載されていた記事を転載したものです。
2017年3月24日掲載