使える! 情シス三段用語辞典58
「ハイブリッドクラウド」


常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなると更に難しくなります。ジョーシスでは数々のIT用語を三段階で説明します。


一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明


取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?

一段目 ITの知識がある人向け 「ハイブリッドクラウド」の意味

「ハイブリッドクラウド」とは、企業が自社内のみで利用できる「クラウド(プライベートクラウド)」と、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)やマイクロソフトなどのクラウドサービス事業者が提供する「共有クラウド環境(パブリッククラウド)」を組み合わせて利用することを指す。


プライベートクラウドは、自社だけで利用するクラウド環境のため、セキュリティには優れているが、突発的な利用ニーズの発生、不慮の事故などに対しては、対応が難しかったり、コストが高くなることがある。


そこで、他社のサーバーに保存したくない重要なファイルなどはプライベートクラウドに置き、突発的な利用ニーズなどは、パブリッククラウドで柔軟に対応するという「ハイブリッドクラウド」の考え方が生まれた。これは、クラウドの「いいとこ取り」の使い方といえる。最近ではクラウドの新たな仕組みとして注目されている。

二段目 ITが苦手な経営者向け

社長の会社では、インターネットで大がかりなキャンペーンをやるそうですね。そうしたら、たくさんのお客さんが、社長の会社のホームページに来るでしょうね。


しかし、そこが悩みの種だったりしませんか? キャンペーンで一気にたくさんの人がアクセスすると、会社のサーバーが落ちてしまう危険性があるからです。


え? そこは大丈夫? 「パブリッククラウド」を利用することにしたので、アクセスの増減に合わせて、素早くサーバーの容量を変えられる、ですって?


社長、さすがですね! 今後は全部パブリッククラウドに替えてしまおうか検討している? なるほど。


確かに、パブリッククラウドは使いたいだけ柔軟に使える共用のクラウドで、便利に感じる人は多いと思います。しかし、すべて、社内のIT環境をパブリッククラウドに全て変えるのは、ちょっと問題があると思いますよ。


例えば、会社の大事なシステムやビジネス関連のデータ、個人情報などを、共有環境であるパブリッククラウドに保存したらどうなるでしょう? 機密情報が漏えいしないとも限りません。だったら、パブリッククラウドに置くのは嫌ですよね。


そこで、今注目されているのが「ハイブリッドクラウド」です。


これは、大事なデータやシステムは自社だけが使うプライベートクラウドで構築して、キャンペーンのWebサイトのような使う容量を素早く変化させたいものはパブリッククラウドを使うという考え方になります。


つまり、「2つのクラウドのいいとこ取りの使い方」というわけです。目的に応じて、うまく使い分けることで賢くクラウドを利用しましょう。

三段目 小学生向け

みなさんには「自分の部屋」がありますか?


あるけどせまい? なるほど。では、そんな自分の部屋に、お友達を呼んで「お誕生日パーティ」をすることになったらどうなるでしょう? 


もし、お友達がたくさん来ることになったら、とても入りきれませんよね! そうなると、「自分の部屋と、となりの居間をくっつけてお誕生会パーティをやりたい」と、お母さんに頼むことになるかもしれません。


でも、お友達がまだ何人来るかはわかりませんよね。居間をくっつけても、やはり目一杯になるかもしれないし、ひょっとしたら、2人ぐらいしか来なくて、自分の部屋だけで十分かもしれません。


本当は「自分だけしか入れない大切なものを置いた部屋」と「友達を呼んで一緒に過ごせる、そして友達の数によって広さを自由に変えられる部屋」を2つ持っていると、とてもうれしいですよね。


実は、仕事とコンピューターの世界でも同じことがあるのです。


会社では「プライベートクラウド」といって、自分の会社とそのグループだけしか使わない「サーバー」というコンピューターの中に、大切なデータを置いておく使い方があります。サーバーには会社が持っているホームページのデータなども置かれています。このサーバーは会社にとって「自分の部屋」といえます。


一方で、会社のホームページにはたくさんのお客さんがやって来ることがあります。そのお客さん達は、どれぐらいの数がやって来るのか、わかりません。そうなると、プライベートクラウドでは対応できないことがあるのです。


そこで「パブリッククラウド」といって、比較的広く、安く使える共用の場所に案内します。しかも、この場所は広さをいつでもすぐ変えることができます。これは「友達を呼んで一緒に過ごせて、友達の数によって広さを自由に変え替えられる部屋」になるわけです。


この大切なものがある「自分だけの部屋(プライベートクラウド)」と、時と場合に応じて広さを変えられる「みんなと共用する部屋(パブリッククラウド)」のよいところを組み合わせて、仕事で使うことを「パブリッククラウド」といいます。 自分の部屋を持ちながら、友達と遊べる部屋を持てて便利なので今、注目されているんですよ。

この記事は株式会社パシフィックネットが運営していたWebメディア「ジョーシス」に 掲載されていた記事を転載したものです。
2017年7月28日掲載