使える! 情シス三段用語辞典45
「機械学習」


常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなると更に難しくなります。ジョーシスでは数々のIT用語を三段階で説明します。


一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明


取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?

一段目 ITの知識がある人向け 「機械学習」の意味

機械学習は人工知能(AI)の技術の1つで、その名の通り機械が自ら学習する仕組みを指す。


最近になりハードウエアの進化と、「ニューラルネットワーク」と呼ばれる脳神経をモデルにした情報処理システムが進歩し、ディープラーニング(深層学習)の実用化に弾みがついたことで、ディープラーニングを使う機械学習の利用が進んだ。


特に1つのチップの上に数百~数千のCPU(中央演算装置)を持つGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット:PCの画像処理装置)を応用したディープラーニングが登場で、比較的安価なハードウエアでも精度の高い機械学習が行えるようになった。


一方で、IBMの「Watson(ワトソン)」、NECの「NEC the WISE(エヌイーシー・ザ・ワイズ)」、富士通の「Zinrai(ジンライ)」など、人工知能のプラットフォームサービスが提供されつつある。これらのAIでもディープラーニングを使った機械学習が利用されている。


また、グーグルの「TensorFlow(テンソルフロー)」、日本のAIベンチャー企業、Preferred Networks(PFN)の「Chainer(チェイナー)」、カルフォルニア大学バークレー校の「Caffe(カフェ)」など、無料で使えるディープラーニングのライブラリが公開され始めており、今後より幅広い分野で、ディープラーニングを使った機械学習の利用が見込まれている。

二段目 ITが苦手な経営者向け

社長は「人工知能(AI)」と聞くと、これまで「人間の脳のコピーを作る」というイメージを持っていませんでしたか? このイメージは一般的の人にも強かったと思います。


社長が思い浮かべるような人間と同じようにあらゆることを考えられる人工知能は「汎用人工知能」と呼ばれています。この人工知能は、昔から研究されてきましたが、「想像」「思考」「感情」などの人間の頭脳を再現するためには、まだまだ未解明の部分もあり、まだまだ実現するのは難しいとされています。


一方で、「囲碁や将棋でチャンピオンに勝った」「新しい病気の治療法を発見した」「ニュースの記事を自動で作成する」といった最近ニュースなどでよく話題になっている人工知能がありますよね。これは「汎用人工知能」ではなく、ある特定の分野の課題だけを解決できる人工知能で「特化型人工知能」と呼ばれています。


特化型人工知能は、熟練した人の知識や技術を基にして、さまざまな条件に合わせて結論を出す仕組みです。これまでは人の手でプログラミングすることで実現していました。しかし、これではプログラミングをされた以上のことを学ぶのは不可能で、人間のように「経験」を積んでいくことはできませんでした。


そのため、考えられたのが、機械(コンピューター)自身が学ぶ「機械学習」という方法です。


機械学習では、コンピューターが、大量のデータの中からよく出現するパターンやルール、表現などを抽出して、「アルゴリズム」という、ものごとを判断する基準を自ら作り出すのです。そして、それを繰り返すことで精度を高めていきます。まさに、人が学習して賢くなっていくのと同じ仕組みなのです。


ただし、機械学習は、あくまでコンピューターがデータとして入力された物事の結果を機械的に分類していくだけです。意味を理解しているわけではありません。最後は人が分類した結果に「意味づけ」をしてコンピューターに教えなければならなかったのです。


そこで、最近では機械自身が意味も学習できるように人間の脳の仕組みからヒントを得た「ニューラルネットワーク」という情報を処理する仕組みを使って、データの「特徴」を抽出し「意味づけ」するようにしました。これを「ディープラーニング(深層学習)」といいます。


このディープラーニングを使った機械学習機能を持つ特化型人工知能は、今後さまざまな形で社会に導入されていくと考えられています。特に日本では、少子高齢化などによる労働人口減少による産業力低下の対策として、ロボットやIoT(モノのインターネット)分野などでの利用に大きな期待が寄せられています。

三段目 小学生向け

みなさんが知っているコンピューターは、とても計算が得意な機械です。みなさんの家にあるようなパソコンや、スマートフォンも、実は1秒間に何十億回もの小数の計算ができる力があるのです。


でも、コンピューターは私たちが普通にできる「考える」ということはできません。「プログラム」という、人間が作った、たくさんの命令どおりに動いているだけなのです。


しかし、「たくさん計算ができるなら、コンピューターが学べるようにすれば、もしかしたら人間の頭脳のように考えることができるのではないか」と考える人達がいました。そして考えられたのが「人工知能(じんこうちのう)」というしくみです。


ただ、人工知能は研究をすればするほど、人間の頭脳と同じように考えさせるのは難しいことがわかってきました。一方で、囲碁や将棋の打ち方など、ある「決まったものごとだけを考える」ことはできそうだともわかりた。


そこで、「決まったものごと」専用の人工知能が作られ始めました。この人工知能にはコンピューターが「自分で勉強をする」ためのしくみが入っています。このしくみを「機械学習(きかいがくしゅう)」といいます。


機械学習が発明されたことで、人工知能は自分自身で学べるようになり、ものすごい速さで賢くなりました。そして、今ではいろいろなところで使われています。


ただ、発達した人工知能は、人間がする仕事の一部を人に取って代わって行うといわれています。そうなると、なくなる仕事も出てくるので大変なことになりそうです。


でも、今のところ、人工知能はものごとを感じたり、想像したり、作り出したりすることはできません。そういうことが必要とされる仕事は、まだ人間しかできないのです。だから、みなさんは、これから人工知能を上手に使って、今までにない仕事をしていくことが大切になるのですよ。

この記事は株式会社パシフィックネットが運営していたWebメディア「ジョーシス」に 掲載されていた記事を転載したものです。
2017年5月9日掲載